オックスファム・ショップを支えるのは「地域のみんな」、商品の7割が寄付品!

オックスファムのイメージカラーの緑で統一されている店内

■5~6人のボランティア店員も

東京・吉祥寺にチャリティショップがある。国際NGOオックスファム・ジャパンが運営するもので、その名も「オックスファム・ショップ」だ。正式オープンは2012年3月。開店して7カ月ちょっと経ったこの日本1号店には、1日100~200人が来店し、20~30人が実際に、食器やインテリアグッズ、海外の絵本などを購入していく。

この店を統括するオックスファム・ジャパンのマーケティングオフィサー、古賀智子さんは「オックスファム・ショップは、地域の人たちに商品を買ってもらうだけでなく、使っていないモノも寄付してもらい、それらを商品として売っている」と、地域の人たちに支えられ、運営が成り立っていることを強調する。

実際に、店で売られる商品の約7割は寄付品だ。残りの3割は、オックスファム・ベルギーから輸入したフェアトレードのチョコレートやコーヒー、さらにはエコバッグ(福島の女性が作り、売り上げの半分が還元される)やマグカップ、Tシャツなど、オックスファムのオリジナル商品もある。

一番の売れ筋は食器。伊万里焼をはじめとする日本の陶芸品もあれば、ウェッジウッドやミントン、ティファニーなど欧米ブランドの皿やコップも棚に並ぶ。価格も、定価の半額程度と安めだ。「寄付されたものだからできること」と古賀さんは言う。

“地域のみんなで運営する”という意味は、商品の仕入れ・販売だけにとどまらない。スタッフもそうだ。オックスファム・ショップにはスタッフ(パートタイム)は3人いるが、これ以外にも、学生や若い社会人など5~6人のボランティアが接客や商品のクリーニング、陳列などの作業をする。

■1年に2店舗ずつ出店していきたい

オックスファムがチャリティショップを運営するのには3つの目的がある。ひとつは、途上国支援の活動資金を得ることだ。世界の貧困をなくすためのアドボカシー(政策提言)や各種啓発キャンペーン、途上国の長期開発支援、緊急人道支援などのプロジェクトに収益は充てられる。

古賀さんは「売り上げはまだまだ少ないが、まずはいまの2倍に増やしたい。店舗数も、12年度中に1~2店舗、できれば1年に2店舗ずつ出店していきたい」と意気込む。ショップのウェブサイトもオープンする計画だ。

2つめと3つめの目的は「オックスファムの認知度を上げること」と「世界中で起こっている貧困への関心をもつきっかけや国際協力に参加する機会を提供すること」だ。古賀さんは「吉祥寺店は狭いが、できればカフェコーナー併設の店舗を作りたい。店内で、たとえばフェアトレード月間や『世界○○デー』といったイベントを打ち、人々が集う場にしたい」と将来を見据える。

オックスファム・ショップは世界各地にある。ユニークなのは、国ごとにそれぞれ特色が違うことだ。約700店舗を展開する本場・英国では「古着屋」というイメージが強い。CDや学術書も専門的に取り扱うショップもある。英国に留学する学生のなかには、生活必需品をオックスファム・ショップで調達し、帰国する際に寄付するという人も少なくないという。

ベルギーのオックスファム・ショップには店内に大きなテーブルが置かれ、本を読んだり、ゆっくりくつろぐことができるようになっている。セミナーも開催する。ドイツでは店舗スタッフがマネージャーも含めて全員ボランティアで運営している。(有松沙綾香)