「ニュースではわからない本当のシリアを知ってほしい」、シリア人留学生が京都で現代アート・写真展

「シリアの鼓動」の主催団体・京都シリア人学生の会のメンバーら

「日本のメディアは、シリアといえばまるで戦争一色かのように伝えている。日本人もシリアに対して偏ったイメージを抱いている。しかしシリアは、日本と同じように、1000年以上の歴史に育まれた豊かな文化を持ち、多様性にあふれる国だ」

シリアの写真やシリア人アーティストの作品の展覧会「シリアの鼓動~Syrian Pulse in the Heart of Japan~」(主催:京都シリア人学生の会=SSK)が京都市国際交流会館(京都市左京区)で開催中だ。冒頭は、SSKの代表で、京都の大学で勉強するアルハッダド=リナさんが展覧会初日(9日)のあいさつで語った言葉だ。

リナさんは、戦争というひとつの側面だけを見てシリアのイメージを作り上げるべきではないと訴える。シリアでは2011年に紛争が勃発。11月20日のアムネスティ・インターナショナルのプレスリリースによると、これまでに320万人のシリア人が国外に避難した。紛争はまだまだ収拾しそうにない。

「シリアが戦争やイスラム国(過激派組織)だけかといえば、もちろん答えはノー」とリナさん。「偏った考えを信じないでほしい。シリア人は豊かな食文化を持 ち、音楽やダンスを愛している。人をもてなすことが大好きで、シリアと日本は似ている部分がたくさんある。多くの人にこの展覧会に来てもらい、私たちと話 し、もっとシリアのことを知ってほしい」と話す。

シリアの鼓動は12月14日まで開催される予定。展示されている作品は、シリアの戦争や人々の暮らしを描くシリア人アーティスト、ウィサート・アル=ジャザイリーの絵や、シリア人留学生らがシリア国内で撮影した写真など。シリア人留学生らが受付で手作りのせっけんやクロス、衣装なども販売している。