性犯罪厳罰化の声高まるインド、集団レイプ事件の有罪判決続く

集団レイプ事件が22分に1件発生しているとされるインドで、同事件の判決が相次いでいる。女性の人権を無視した残虐な事件の発生は、インドでの女性の差別的な扱いだけでなく、長く語られなかった性暴力犯罪に対する国民の怒りを爆発させ続けている。

ムンバイ市裁判所は3月21日、フォトジャーナリスト女性を集団でレイプしたとして、被告男性4人に対し有罪判決を言い渡した。事件は2013年8月、イギリス誌でインターンをしていた22歳のフォトジャーナリスト女性が、ムンバイのロウワー・パレル地区の工場跡地に男性の同僚と向かった際、被告男性4人などから集団で暴行を受けたとされる。事件当時18歳だった被告の元少年は、これとは別の少年裁判を受けている。

インドでは、2012年にデリーで起きた女子学生のバス内での集団レイプ事件をきっかけに、性暴力事件に対して厳罰化を求める声が高まっている。今回のムンバイのフォトジャーナリスト女性への集団レイプ事件の発生は、その世論を一層強める結果となった。

発端となった事件は2012年12月、当時23歳だった女子学生とその友人が映画館からバスで帰宅していた際に起きた。バスに乗り込んできた男性らに女子学生はレイプされ、一緒にいた友人も殴打されるなどした。被害に遭った女子学生は内傷が原因で事件から2週間後に死亡した。

事件直後、関係者6人全員が警察当局に逮捕されたが、そのうちの1人は自殺を図り、もうひとりは事件当時少年だったため、有罪判決を受けた上で、3年間更生施設に送致されることになった。この事件に関して、特別早期結審裁判は2013年9月、被告男性らに「犯罪が死刑に匹敵する極めて希有な事件」として死刑を言い渡した。ニューデリー高等裁判所は3月、一審死刑判決を支持する判決を下した。

一連の集団レイプ事件に対する国民の怒りは現在、性犯罪の重罰化だけでなく、窃視、ストーカー行為、アシッド・アタック(女性の肌に硫酸などをかける行為)、女性の人身売買を有罪とする法制化を連邦政府に求める動きへと発展してきている。(河合正貴)