貧困と気候変動のない世界を目指すには「2015年」がカギ! 120カ国のNGOが参加する「アクション2015」がキャンペーン

2015年は貧困削減を考えるうえで重要な年――。世界120カ国1000以上のNGOが参加するネットワーク「アクション2015」は1月15日、貧困・格差と気候変動のない世界を作るためのキャンペーンを立ち上げた。狙いは、米ニューヨークで9月に開かれる国連会合で決まる世界目標「ポスト2015年開発目標(ポスト2015)」と、フランス・パリで12月に開かれる「第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)」の合意内容をより良くするため、国連と各国政府に働きかけていくこと。日本の事務局は、国際協力NGOのネットワーク「動く→動かす」が務める。

国連会合で決まるポスト2015は、2000年に制定され2015年に達成期限を迎える「国連ミレニアム開発目標(MDGs)」の後を継ぎ、16~30年の取り組みを定める目標だ。貧困・格差の解消と持続可能な社会の構築を目指す。目下のところ、持続可能な開発目標(SDGs)のオープン・ワーキング・グループ(代表国70カ国で構成)が作成した案をベースに国家間交渉が続く。

COP21の注目ポイントは、2020年以降の地球温暖化を抑制する取り組みがどうなるか。2009年のCOP15では、21世紀末の気温上昇レベルを「産業革命前と比べて2度未満」に抑えることが決まった。ところが温室効果ガスの排出削減は進まず、このままでは4度上昇するとの見方が濃厚。ペルー・リマで2014年に開かれたCOP20でも先進国と途上国の対立は解消されなかった。

アクション2015のキャンペーンでは、各国のNGOが協力し、「2015年」の重要性を市民に認識してもらうことを目指す。カギとなるのは15歳の少年少女だ。この子どもたちはMDGsが誕生した2000年に生まれ、ポスト2015の期限となる2030年には30歳となる。ポスト2015とCOP21が、ミレニアム世代の人生に大きな影響を与えるのは必至だ。

このキャンペーンの一環として、ナイジェリアの15歳の子どもたちはンゴジ・オコンジョ・イウェアラ財務相に未来への希望を伝える。ノルウェーでは“15歳のキャンペーン活動家ら”がエルナ・ソルベルグ首相と懇談。タンザニアではモハメド・ガリブ・ビラル副大統領に「政治家に望むこと」を話す。またニューヨークでは15歳の子どもたちが潘基文(パンギムン)国連事務総長と国際的な行動の必要性について議論する。このほか、ボリビアやコスタリカ、インド、ウガンダ、英国など50カ国でさまざまな行動を起こしていく。

米デンバー大学の研究では、貧困や気候変動の適切な政策が2015年に決定され、実施されると、「極度の貧困状態」(1日1.25ドル未満)で暮らす人の割合は、世界人口の17%(現在)から2030年には4%に減るという。ただ9月と12月の会議で成果を出せず、政策が後退した場合、極度の貧困状態で暮らす人の数は12億人となる。言い換えれば2015年の2つの会議の決定次第で、極度の貧困層が8億8600万人増えることになる。