アフリカ西部リベリアのエレン・サーリーフ大統領が10月15日、東京大学本郷キャンパスで講演した。民主主義の発展や世界平和の実現のためには女性の社会進出や教育機会の提供が必要だと強く訴えた。
サーリーフ大統領は2005年の就任以来、警察官僚のリーダーに女性を登用するなど、女性の社会進出を積極的に後押ししてきた。「女性の権利の向上がより良い社会を作る」との持論からだ。
米国で解放された黒人奴隷によって建国されたリベリアは、1989~2003年に2度の内戦を経験。独裁政治が続いていたリベリアを民政化へ導くことができた点についてサーリーフ大統領は「リベリアには若者が多い。彼らは自由を求めて、デモをする。政治家はそういった多くの声を無視できるものではない」と述べた。
最後にサーリーフ大統領は「日本をはじめ世界のためにも、日本に女性のリーダーが誕生することを望んでいる。女性首相誕生のニュースが近い将来聞けることを期待したい」と約20分の講演を締めくくった。
サーリーフ大統領は、ハーバード大学で経済学(修士号)を修了。トルバート政権(71~80年)下で財務相を務めるが、反アメリコ・ライベリアン(リベリアに帰還したアフリカ系アメリカ人の子孫)の軍人らによるクーデターに巻き込まれ、ケニアへ逃亡。一時帰国の際に、ドゥ政権(80~86年)を批判したとして投獄された。
解放されてからは国連開発計画(UNDP)アフリカ局長を経て、97年の大統領選に出馬するも落選。05年の大統領選で当選し、選挙で選ばれたアフリカ初の女性大統領となった。内戦終結後のリベリアの国家再建とアフリカ女性の権利向上へ尽力したとして、2011年にノーベル平和賞を受賞している。(有松沙綾香)