あなたの食べ物が飢餓を生む?! 京都で「きょうのごはんに大感謝祭!」

森林破壊と洗剤の関係について説明するサラヤの中西宣夫氏(右)

「食」がテーマのイベント「きょうのごはんに大感謝祭!」が4月20日、京都市内の京(みやこ)エコロジーセンター(主催:同)で開かれた。イベントの目的は、食料の「つくる・はこぶ・うる・たべる・すてる」を来場者が知り、暮らしの中でより良い選択を心がけるようになること。農業生産法人や環境NGOなど、主催者を含め16団体がブースを出展し、990人が来場した。途上国や国際協力と密接な関係をもつブースをのぞいてみた。

■ポテチはオランウータンのすみかを奪う

マレーシア・ボルネオ島の生物多様性を守るNPO「ボルネオ保全トラスト(BCT)ジャパン」と、温室効果ガスの削減を推進する団体「京(みやこ)のアジェンダ21フォーラム」は、身近な食べ物とボルネオ島の森林破壊の関係を学ぶワークショップを共同で開催した。

このワークショップでは、BCTの法人パートナーで、洗剤や石けんのメーカーであるサラヤ(大阪・東住吉)の中西宣夫氏がスピーカーとして登壇。ポテトチップスやチョコレート、アイスクリーム、ラーメンなどに使われるパーム油と、パーム油の原料となるアブラヤシのプランテーションが広がるボルネオ島の森林破壊とのつながりを説明した。

ワークッショップに参加した子どもや保護者からは「おもしろかった」「全然知らなかった。勉強になった」などの声が聞かれた。BCTジャパンの理事で、京のアジェンダ21フォーラム事務局の石崎雄一郎氏は「まずは知ってもらい、気付いてもらうことが重要だ」と話す。

■コーヒー飲んで国際協力!

元子ども兵士を支援するNGOテラ・ルネッサンスは、ウガンダ産のフェアトレードコーヒーのブースを出展した。コーヒーの売り上げは、ウガンダの元子ども兵の社会復帰支援事業に使う。

栗田佳典・国内事業部長は「支援者を増やすための窓口を多くもつことは重要。コーヒーの販売もそのチャネルの1つとして欠かせない」と言う。

■焼肉店が菜食レストランに 

京都市の菜食レストラン「ヴィーガンズ・カフェ・アンド・レストラン」は肉を一切使わない「ベジカルビ丼」を販売した。人、動物、環境にやさしく、飢餓の解決にも貢献するという思いが込められている。

オーナーの松田泰一氏はかつて、同じ場所で焼肉店を経営していた。だが、ペットを探しているときにウェブサイトでたまたま目にした「ペットの殺処分風景」が転機になった。いろいろ調べていくうちに、「多くの穀物が人間の口に直接入るのではなく、飼料に使われていることから、飢餓につながっていること」「世界の温室効果ガス排出量の18%を家畜産業が占めていること」――などを知った。

松田氏は食肉には問題があると考え、菜食主義者になった。その2年後に、焼肉店を閉め、菜食レストランをオープンさせた。

■穀物の34%が「飼料」になる

京エコロジーセンターの新堀春輔氏は「いろんな国の食べ物をのぞいてみよう!」と題した講座を開催。70億人の世界人口に対し、食料は140億人分作られているにもかかわらず、地球上では8人に1人が飢餓状態にある現状を解説した。

講座では、アフリカや南米、アジアの国々で暮らす家族が1週間に食べる物を撮った写真をプロジェクターで映した。途上国から先進国、農村から都市へ変わるにつれ、食べ物の量と種類が増え、肉や加工食品が多くなっていくことが一目瞭然だった。

世界で生産される穀物のうち、人間が直接食べるのは46%しかない。34%が飼料、20%がその他(甘味料、燃料など)だ。新堀氏は「食料の買い過ぎや食べ過ぎはもちろん、肉の過剰摂取が、食料の不公平な分配を生む。肉の消費量を減らすことが飢餓の解決につながる」と力説。参加した子どもたちからは「買い物の前に、それが本当に必要かどうかよく考える」との意見が出た。(西森佳奈)