セブのダウンタウンの教育パパ、家庭では英語の使用以外は認めない

エルディ・ユーさん。彼がオーナーを務めるパン屋で(セブ市)

「君ももっと英語を勉強した方がいい」。フィリピン・セブ市のカルボンマーケットにあるパン屋で言われた一言だ。そのパン屋のオーナーであるエルディ・ユーさん(49歳)は他人に説教をする分、自身も英語の重要性を強く認識しているのが印象的だった。

カルボンマーケットは私にとって、英語を用いて店員と会話をするには難しい場所だった。英語をほとんど話せない店員がザラにいるからだ。しかしユーさんの英語は、語学スクールに通っていたこともあり、周りの店の人とは明らかにレベルが違うように感じた。文法には少し難ありだが、発音はとても良く聞き取りやすい。英語上達のコツを聞いたら、「とにかく毎日話すことだ。文法などの間違いを気にして、話さないことは良くない」とアドバイスをくれた。

また、ユーさんは2人の息子がいると教えてくれた。ユーさんは2人の息子に英語を身に付けさせようとしている。その熱意は並ではない。2人を学校に通わせるのはもちろんのこと、家での会話は英語のみというルールまで作ったことが良い証拠だ。このようなユーさんの英語教育を重視する姿勢の裏に、息子たちのより良い将来を願う姿を垣間見た。

英語を学ばせる理由として「英語はこの先一番重要なスキルだと思っている。息子たちには英語を使った仕事をしてほしい」と強く語ってくれた。次男のカートくんは8歳ながら、家にいる間は基本的に英語で話す。ちなみに私は8歳のころ英語をまったく話せなかったし、今もたどたどしい。

庶民が暮らすダウンタウンで、ここまで英語教育に厳しいパパの存在は珍しいのではないかと思った。なぜなら、冒頭のように赤の他人である私にも説教してくれたのだから。ユーさんにとって私は英語をほとんど話せない客だった。(大石孝太朗)