バングラデシュの縫製工場ラナプラザの倒壊事故(2013年4月24日)で1133人の犠牲者を出してから1年、この悲劇を忘れないようにすることを目的に、国際的なキャンペーン「ファッション・レボリューション・デー」が4月24日、インターネット上で開催される。一般の人だけでなく、ブランドや小売店にも参加を呼びかけている。キャンペーンのホームページも立ち上がった。
キャンペーンの発起人は、フェアトレードファッションのパイオニアで、「パチャクティ」(フェアトレードの帽子を生産・販売するブランド。商品はエクアドルの生産者グループが作っている)創始者の英国人キャリー・サマーズ氏だ。今年が1回目で、今後も毎年続けていく予定。
今回のテーマは「その服、誰が作ったの?」だ。参加者は、服を裏返しに着て、写真を撮り、4月24日に「私はきょう、この服を誰が作ったのか○○(その服のブランド)に聞きたいので、裏返しに着ています」とツイートする。
これ以外にも参加方法はある。
1)裏返しの服の写真をインスタグラムで共有する。#InsideOutでタグ付けする。タグ付けをすると、そのキーワードでユーザーが検索できるようになる。
2)ブランドのフェイスブックページに直接、「誰がこのブランドの服を作っているのか」と問い合わせる。メールや動画で問い合わせてもよい。
3)ブランドからの回答や、それに対する自分の感想、関連する写真などをツイッターやフェイスブック、インスタグラムで共有する。
服を作ったのは誰か、という簡単な問いかけをすることで、服を縫製する人、コットンを栽培する人がいることを想像させるのが狙い。ファッション産業のサプライチェーンに多くの人が携わっていることへの気づきを与える。コットン農家の人は、コットンがどこに行くのかを知らないし、服を買う人は、誰がそれを作ったのか知らない。ラナプラザが倒壊した時、多くのブランドが、1週間経っても自社の服がそこで作られていたかどうか分からなかったという。
コットン栽培者の多くが1日2ドル(約200円)以下で生活していること、世界中で年間約2万人が農薬の害が原因で亡くなっていて、その多くが途上国のコットン農家で働いていることも、あまり知られていない。
英国にあるキャンペーン運営本部のメンバーは、ファッション業界をはじめ、大学や産業界、慈善団体などから参加している。また、世界50カ国以上に各国での運営をサポートするコーディネーターが配置されている。日本のコーディネーターは、ピープル・ツリーを運営するフェアトレードカンパニーのサフィア・ミニー氏。
ピープル・ツリーは4月24日、キャンペーンと同名のイベントを都内で開催する。内容は映画上映、トークセッションなど。イベントへの参加申し込みはピープル・ツリーのNGO「グローバル・ヴィレッジ」のサイトからできる。
ファッション・レボリューション・デーのホームページからは、ポスターやロゴ、学校向けの教材やクイズなどをダウンロードできる。クイズはほとんどが3択で、「ラナプラザ倒壊事故の際、犠牲者に補償を申し出た最初のファスト・ファッションブランドは?」(答えはプライマーク)、「アラル海に汚水を排出し、収穫時に児童労働もさせているコットン産出国は?」(同ウズベキスタン)、「英国人女性は、タグを付けたまま一度も着ない服を平均何着持っている?」(同6着)など、ファッション産業の問題を知るきっかけを提供する。
ラナプラザでは、ベネトン、マンゴー、ウォルマートなどの大手ブランド向けの服が作られていた。(西森佳奈)