ブラジルのポルトアレグレで2012年12月19日、サッカーのチャリティーマッチ第10回「Match Against Poverty」(貧困撲滅のためのチャリティーマッチ)が開催される。かつての名選手で、国連開発計画(UNDP)の親善大使を務めるロナウド、ジデディーヌ・ジダン両氏はこのほど、この試合に参加するよう世界中のサッカー選手に呼び掛けた。このチャリティーマッチは、国連が推進するミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けた活動の資金集めを目的としている。
貧困撲滅のためのチャリティーマッチは、2003年のスイス・バーゼルを手始めに、ドイツ・デュッセルドルフやマドリード、アテネなど世界各地で毎年開催されるもの。毎回3万人を超える観客を集め、その収益はラテンアメリカやアフリカ、アジアなどの27以上の発展途上国の貧困問題解決プロジェクトに寄付されてきた。
ドイツ・ハンブルクで2011年に開かれたチャリティーマッチの収益は、飢饉や干ばつ、紛争などに起因する深刻な食料危機に当時陥っていた「アフリカの角」地域(ソマリアなど)で暮らす1300万人の食糧援助に使われた。10回目にして初めて南半球で開かれる今大会は、ブラジルとアフリカのポルトガル語圏(アンゴラやモザンビークなど)の住民を対象にした貧困削減への取り組みの支援金として寄付される。
だが、このチャリティーマッチの目的は資金集めだけではない。選手が参加する本当の意義はサッカーを通して「私たちは、貧困問題の解決のために何かを行うことができるのか?」というメッセージを伝えるところにある。
UNDPのレベッカ・グリンスパン副総裁は「このチャリティーマッチはUNDPにとっても、われわれを支援してくれる団体にとっても最も重要なイベントのひとつ。サッカーは世界中で非常に人気のあるスポーツだが、同時に貧困問題の解決もグローバルな課題だ。途上国への支援活動に対する注目・関心を集められる素晴らしい機会」と期待する。
サッカーとチャリティーは相性が良く、UNDPは、死者30万人以上を出した2010年のハイチ大地震が起きた際にも、ポルトガルの名門サッカークラブであるベンフィカと協力して6100万円を集め、被災者のために「キャッシュ・フォア・ワーク(CFW)」を実施した。CFWとは、被災者を復興事業に雇用し、賃金を払う途上国でよく使われる手法。UNDPはハイチで、建物のがれき処理や再利用可能な素材の回収・選別などの仕事を被災者に与えた。(依岡意人)