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国連児童基金(UNICEF)は1月30日、世界の子どもたちの状況をデータに落とし込んだ報告書「世界子ども白書2014統計版 だれもが大切な“ひとり”―格差を明らかにし子どもの権利を推進する―」を発表した。このなかで、「取り組みが進展した面」と「子どもの権利が侵害されている面」をそれぞれ指摘し、世界に存在する“子ども格差”を明らかにした。
1)もし1990年時点の5歳未満児死亡率がまったく改善されていなかったら、90年から現在までに9000万人の子どもが5歳になる前に命を落としていた。予防接種や基礎的な保健サービス、水と衛生(トイレ)環境の向上が子どもの命を守った。
2)子どもの栄養状況が良くなった結果、90年と比べて発育阻害が37%減った。
3)後発開発途上国を含め、初等教育の就学率が向上した。90年に小学校へ入学した子どもは100人中わずか53人だったが、2011年は同81人に増えた。
4)約660万人の5歳未満児が12年に、多くは予防可能な原因で命を落とした。「生きる権利」「育つ権利」という子どもの基本的な権利が侵害されている。
5)世界の子どもの15%が働かざるを得ない状況に置かれている。「経済的搾取から守られる権利」「学ぶ権利」「遊ぶ権利」が侵されている。
6)女子の11%は15歳未満で結婚している。彼女たちの「健康に関する権利」「学ぶ権利」「保護される権利」が脅かされている。
7)世界の最も貧しい国・社会層の人たちが、専門家(助産師など)の助けを得て出産する確率は、最も豊かな国・社会層の場合に比べて2.7倍も低い。この結果、新生児や母体が出生時の合併症にかかる危険性が高くなっている。
8)ニジェールでは、都市部は全世帯が安全な水にアクセスできるが、農村部だとわずか39%。
9)チャドでは、中等教育に進学する男子100人に対し、女子はわずか44人。多くの女子が、学校教育、さまざまな社会的リスク(搾取)からの保護、行政サービスの恩恵を受けられない。
10)ブルキナファソでは、15~49歳の女性の76%がFGM(女性性器切除)を受けている。その一方で、FGMの継続を希望する人はわずか9%にすぎない。
この白書は、18歳未満の子どもの権利を包括的に定めた「子どもの権利条約」が1989年に採択されて以降、世界の子どもたちを取り巻く状況は大きく改善されたと指摘している。また15年に期限を迎えるミレニアム開発目標(MDGs)も国際社会の取り組みを加速させた。その半面、社会開発の果実がすべての子どもに均等に分配されておらず、格差の現状が浮き彫りとなった。(堤環作)