アフリカの東海岸には、大量のビーチサンダルがインド洋から流れ着く。海洋生態系の保護を訴えるため、打ち上げられたビーチサンダルを原料に、動物をモチーフに大きな像から小さなキーホルダーまで様々なアート作品を制作する会社がある。ケニアの首都ナイロビに拠点を置くオーシャン・ソールだ。
オーシャン・ソールの活動は、創設者のジュリー・チャーチ氏が取り組んでいた海洋保護活動に起源を発する。1998年にチャーチ氏がケニア北部のキワユ島を訪れた時、たくさんのビーチサンダルが海岸を埋め尽くしているのを見た。その一方で、子どもたちがビーチサンダルから作っていたおもちゃに興味を持った。その母親たちと協力してごみを拾い、作品を制作し始めた。
ビーチサンダルは、インド洋を汚染させる大きな原因のひとつだ。CNNによると、ケニアではビーチサンダルは多くの人が日常的に使うため、消費後に大量のごみとなる。また、東アフリカのビーチを訪れる観光客も“ビーチサンダル汚染”を助長している。潮流に乗って、インドネシアや中国といったアジアの国からビーチサンダルが流れ着くこともある。
大量のビーチサンダルは美しい自然を破壊するだけではない。オーシャン・ソールのウェブサイトによれば、ビーチサンダルやその破片は孵化したばかりのウミガメが海に戻るのを邪魔したり、魚が飲み込むことでのどを詰まらせているという。同社は、アート作品を通して、海洋生態系の保護を世界中に訴えたいと意気込む。目標は、毎年40万個のビーチサンダルを再利用することだ。
また同社は、ナイロビのスラムや沿岸部で100人以上の雇用を創出している。制作チームの一員として働くエリック・マンドラ氏は「以前は靴を買う余裕もなかった。オーシャン・ソールで仕事し始めてから、2人の子どもを学校に行かせられるようになった」と喜ぶ。
オーシャン・ソールは、コミュニティや自治体、学校などと協力して、海の環境や生態系について学ぶワークショップも開催している。作品は、同社のホームページから購入が可能だ。キーホルダーの価格は2ドル37セント(約283円)。