イスラエル発の人気チョコレートブランド「マックスブレナー」の関西初となる店舗が4月上旬、大阪市北区の商業施設ルクアイーレにオープンした。入店待ちの長蛇の列が話題を呼んでいるが、海外ではパレスチナ問題への抗議として、同社の商品に対する不買運動も起きている。
イスラエルで創業したマックスブレナーは、ニューヨークを拠点に、米国、豪州、シンガポールなど7カ国で50店舗以上のチョコレートカフェを展開する。日本では2013年、表参道ヒルズに第1号店をオープン。ルクアイーレ店は国内4店舗目となる。
人気の秘密は味の良さだけではなく、チョコレート工場をイメージした店内で、五感でチョコレートを楽しめることだ。看板商品は、ピザ生地にチョコとマシュマロがトッピングされた「チョコレートチャンクピザ」。週末は行列ができるのが当たり前となっており、ルクアイーレ店も最大2時間待ちという。
世界中で人気を集めるマックスブレナーだが、豪州などでは「BDS(不買・資本引き揚げ・経済制裁)キャンペーン」と呼ばれる不買運動の対象になっている。BDSキャンペーンは、イスラエルのヨルダン川西岸などへの入植活動に対する抗議のために、パレスチナ人団体を中心に2005年頃から始まった運動だ。
シドニーにあるパレスチナ支援団体「パレスチナ・アクション・グループ」は、ウェブサイトでマックスブレナーを次のように非難する。
「マックスブレナーの親会社は、イスラエルの食品大手シュトラウス社だが、同社はイスラエル国防軍(IDF)のギヴァティ旅団やゴラニ旅団に、食料やレクリエーション用品を無償提供している」
ギヴァティ旅団が2008年から09年に300人以上のパレスチナ人が犠牲になったガザ紛争で主力となった旅団であり、ゴラニ旅団もレバノンの民兵組織に数千人のパレスチナ難民が虐殺された1982年のサブラ・シャティーラ事件に関与したと指摘。「シュトラウス社を親会社とするマックスブレナーは、イスラエルによるパレスチナ人虐殺や強制移住に加担している」として不買を呼び掛けている。
しかし、シュトラウス社の2013年の年次報告書には、同社が豪州でマックスブレナーのチョコレートカフェを運営しているという記述がある。豪州メディアによると、こうした運動に対し、マックスブレナー・オーストラリアの幹部は「我々は豪州でのマックスブレナーのフランチャイズ権を持つだけで、米国のマックスブレナーの管理下にある。シュトラウス社とは無関係だ」と反論している。
豪州の議員からは「イスラエルに抗議したい人は、チョコレートショップの前ではなく、イスラエル大使館の前ですべきだ」との批判も出ているが、パレスチナ・アクション・グループのスポークスマンは次のように訴える。「不買運動によって、イスラエルによるパレスチナでの虐殺などの犯罪に対する世間の関心を呼び起こすことも、目的の1つだ」
マックスブレナーについては、日本でも雑誌などが「行列店」として盛んに取り上げているが、その裏で起きている不買運動にはほとんど触れられていないようだ。