公文教育研究会の井上勝之経営統括本部長は、東京・市ヶ谷で7月27日に開かれた「EFA グローバルモニタリングレポートシンポジウム2015-世界のすべての人が質の高い教育を受けられるように、日本はどうかかわるべきか?-」(主催:国際協力機構=JICA、教育協力NGOネットワーク、ユネスコ・アジア文化センター)で、バングラデシュでKUMON式学習を導入した例を紹介。「学力だけでなく、学習姿勢にも変化が見られた」と話した。
KUMON式学習の最大の特徴は、教科別の練習問題が載ったプリントと呼ばれる教材を使用すること。子どもの学年に関係なく、それぞれの実力に合ったレベルと量(1枚につき10~20問程度)のプリントを与えることによって、子ども一人ひとりの理解度に応じた学習を進める。
公文教育研究会は14年9月から11月まで、バングラデシュで活動するNGOのBRAC(Bangladesh Rural Advancement Committee)が運営する小学校のうち3校で、KUMON式学習を1日30分導入する実験をした。「『学力が向上しただけでなく、学習姿勢にも変化が見られた。自分で主体的に考えるようになった』とBRACから評価を受けた」と井上本部長は語る。対象となった子どもは約100人の小学4年生で、教科は算数のみだ。
この実験は、途上国の貧困層に有益な商品やサービスを提供する「BOP(Base of the Pyramid)ビジネス」の事業化可能性調査(FS)の第一段階。公文教育研究会はJICAからFS費用として5000万円の助成を受けており、FSの第二段階として8月から16年3月まで同様の実験を実施する。対象は、BRACの小学校のうち17校の小学2年生と4年生約500人超だ。
井上本部長によると、FS終了後は、BRACにライセンスを提供し、中高所得層の子ども向けにフランチャイズ教室事業を展開することを検討している。その収益の一部をBRACに還元する。「(教育協力として)さらに第3者からの資金を導入するには、子どもの成長度合いを可視化する必要がある」と井上本部長は語る。
公文教育研究会は現在、48カ国・地域で教室を展開し、約430万人にKUMON式学習を提供している。井上本部長によると、KUMONが世界で広まったのは、お母さん同士の「KUMONのおかげで子どもが変わった」という口コミのためだという。