国連がこのほど発表した統計「2014年度版 子どもの死亡における地域(開発レベル)別の傾向」によると、13年に死亡した5歳未満児の数は全世界で630万人、その多くは予防可能だったことがわかった。1日換算ではおよそ1万7000人。前年から約20万人減、1990年比では49%の削減にとどまった。国連ミレニアム開発目標(MDGs)が掲げる「15年までに5歳未満児死亡率を(90年比で)3分の2削減する」目標の達成は厳しい状況となった。
死亡した5歳未満児630万人の44%(280万人)は、生後1カ月(28日)以内の新生児だった。新生児死亡の約3分の2は、インドをはじめとする10カ国で起きている。
主な調査結果は下の通り。
1)出生1000人当たりの5歳未満児の死亡数が40人以上の60カ国のうち、8カ国がMDGsの目標(67%削減)をクリアした。8カ国とは、マラウイ(削減率72%)、バングラデシュ(71%)、リベリア(71%)、タンザニア(69%)、エチオピア(69%)、東ティモール(68%)、ニジェール(68%)、エリトリア(67%)。
2)東アジア、ラテンアメリカ、カリブ、北アフリカは90年以降、5歳未満児死亡率を3分の2以上削減した。
3)インドとナイジェリアの合計が、5歳未満児死亡数の3分の1以上を占める
4)サブサハラ(サハラ砂漠以南の)アフリカでは90年以降、5歳未満児死亡率を48%削減した。だが依然、出生1000人当たり92人が命を落としており、これは世界最悪の水準。高所得国の平均値の約15倍。
5)世界で5歳未満児死亡率が最も高いのはアンゴラで、出生1000人当たり167人。対照的に最も低いのはルクセンブルクで同2人。日本は同3人。同じ国でも、遠隔地の農村部に生まれたか、貧しい世帯に生まれたか、教育を受けていない母親のもとに生まれたか、によって子どもの死亡リスクは影響を受ける。
5歳未満児の主な死因は、早産による合併症(17%)、肺炎(15%)、陣痛・分娩中の合併症(11%)、下痢(9%)、マラリア(7%)。死亡のおよそ半数に栄養不良が関係している。国連などはこれまで、予防接種、殺虫処理済みの蚊帳、下痢への補水治療、栄養補助食品・栄養治療食などの対策で改善を進めてきた。
世界保健機関(WHO)とUNICEFなどは6月、予防可能な新生児死亡と死産を2035年までになくすことを目指す初の世界的な計画「すべての新生児のための行動計画」を打ち出している。