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環境教育が若者の未来を切り開く!?
記事はすべて署名入り。これは、目だちたがりのベネズエラ人にとってはうれしくてたまらないらしい。書き手のモチベーションがグンと上がるのだ。
「私にも書かせて。おしゃれの仕方なんてコーナーはどう?」
最近は、私が村を歩いていると売り込みの声がかかるようになった。「趣旨からだいぶ外れるんだけどなあ」と言いたいのをグッとこらえて「じゃ、まずやってみて」。見本誌や創刊号を出す前には書き手を探すのに苦労したことを思えば、何はともあれ格段の進歩だ。
ただ大きな問題が2つある。1つは「やる」と彼らが断言したところで、その半分は実際にはやらない。借金取りのように毎日原稿を催促して歩くわけだが、ここまでやる必要があるのか、と悩むときもある。
テーマは書き手と私で話し合いながら絞り込んでいき、詳細はできるだけ本人に考えるよう仕向ける。もしインタビューが必要ならば日時をセッティングし、こういう質問をしてみよう、とヒントを与えるのだが、ひどい場合は当日来ない。またインタビューの最中もメモをあまり取らない。さらにすぐに書き始めればいいのだけれど、1週間経って「そろそろ書くか」と重い腰を上げる人も。詳細は忘れてしまうのだろう、内容が全然違ったりする。途中までやって「もうだめ!」と放り投げる人もいる。さらにはうそを平気で書く人さえいる。
「ごみの3割がカウラ川に捨てられるって書いてあるけど、本当なの?」
「もちろん!」
「誰が言ったの?」
「えっ私の妹」
「妹? 高校生でしょ。どうやって知ったの?」
「‥‥」
もう1つの問題は、書きあがったもののレベルの低さ(内容ではない)。スペイン語のスペルは間違いだらけだし、文章になっていなかったり、話があっちこっち飛びまくっていたり。外国人の私が言うのも偉そうだけれど、スペイン語がここまで書けないとは想像だにしなかった。ひどい原稿は、間違いが多すぎて、半分も理解できない。4~5回書き直してもらうこともざらだ。
環境教育は無限の可能性を秘める、といわれる。フリーペーパーの作成もまさにそう。環境を題材に、環境はもちろん、スペイン語、作文技術、物事の考え方、社会、理科、文化、コンピューター、コミュニケーション、責任感‥‥などを身につけることができるのだ。本屋もなく、外部からやってくる教師も学校の授業を休みがち。現代から置いていかれたこの村で生きる彼らにとって、環境教育の意義は深い。
創刊号(11月号)で広場の清掃人をインタビューしたマリア・リバスさん(15歳)は目を輝かせながら将来の夢を語った。「私、ジャーナリストになりたいかも」。ミラグロ・デル・カウラが、環境を切り口に、若者の将来の扉を開くことができれば言うことはない。(続き)