20カ国で活動する「国境なき図書館」、本で癒やしと教育を

紛争や自然災害に見舞われた場所では、医薬品や食料品を配るのはもちろん、「本」も重要だ。人間は、どんな状況にいても「新しいことを知りたい・学びたい」という欲求をもっている。

こうした理念に立って活動する団体が、フランスに本部を置く「国境なき図書館」(BSFだ。創設者は、フランスの歴史学者パトリック・ウェイル氏。途上国の人たちの「知識・情報への欲求」に応えられる解決法はないか、と探したところ、たどり着いた方法が「移動図書館」だった。

BSF5年前に活動を始めた。地震に見舞われたハイチや東日本大震災で被害を受けた東北など、現在はおよそ20カ国で、450の移動図書館を稼働させている。ハイチでは5万人が利用しているという。読書によって、心に傷を負った人たちを癒やすことができることから、BSFは「移動図書館は、食料やシェルターと同じくらいの意味をもつ」と強調する。

被災地以外では、BSFは、ニジェールのように本が少ない最貧国や、チュニジアのような民主化に移行中の国などでの移動図書館を展開している。

BSFは「この図書館を利用した人が、自分のもつ本を寄贈してくれることもある。それはタミル語だったり、アラブ語だったりする。移動図書館が、教育の機会を与え、雇用につながり、人々の生活に寄与することを願う」と意義を述べる。(今井ゆき)

【参考リンク】

Bibliothèques sans frontières lance l’appel « L’Urgence de lire »(11月29日付ラジオ・フランス・アンテルナショナル)