2013年の世界のODAは過去最高の13兆円、アフリカ向けは5.6%減

経済協力開発機構(OECD)開発援助委員会(DAC)が2013年のDAC加盟国の政府開発援助(ODA)実績(暫定値)を公表したことを受け、国際NGOのオックスファムは4月8日、援助額が増えたことを評価する一方で、アフリカなどの貧困国を軽視する傾向を憂慮する声明を発表した。

DAC事務局によると、DAC加盟ドナー28カ国と欧州連合(EU)のODA支出純額(ネット)は前年比6.1%増の1348億ドル(約13兆円)で、過去最高となった。だがアフリカ向けは5.6%減を記録。10年前のレベルに後退したことが明らかになった。DACは、貧困国軽視の傾向は今後も続くと予想している。

オックスファムは、2008年のリーマンショック以降続いてきた援助削減傾向から反転したことを歓迎。そのうえで、ニーズが高い人たちへの支援が減りつつある現状に強い懸念を示した。また、1970年に合意された「国民総所得(GNI)の0.7%をODAに振り向ける」国際目標を達成したドナーはいまだに5カ国しかないことを憂慮、非難した。

日本のODAについてもオックスファムは言及。2013年の日本の支出純額が前年比36.6%増の117億8000万ドル(約1兆1502億円)となり、フランス(前年比9.8%減)を抜いて4位に返り咲いたことについて「この増額は、ミャンマー向けの大規模な『債務救済』が大きく反映されているようだ」と分析。援助の増額傾向を意味するものではないとした。

日本政府は現在、ODAの理念や指針を定める「ODA大綱」の見直しを進めている。オックスファムは「外交目的や、企業に対する便益を優先するあまり、途上国の持続可能な開発というODA本来の目的を見失ってはならない」と指摘。ODAを通じたドナーの利益はあくまで途上国の発展の結果発生する間接的なものであるべき、と警鐘を鳴らした。

援助をめぐっては近年、開発効果の向上よりも、ドナーの経済的な都合を優先する向きが少なくない。DAC加盟国の間では、これまで「援助」と認められなかった資金も援助の定義に含めようとする動きがあり、オックスファムはこれを警戒している。

途上国の貧困を削減するには途上国自身の経済成長は欠かせない。ただ「貧富の格差を放置した経済成長は貧困削減につながらないとの事実は、世界銀行や国際通貨基金(IMF)も指摘している」とオックスファム。女性やマイノリティを含む途上国の人たちが経済・社会・政治的に力を付けることが必要で、「ここに重点を置き、格差の少ない経済成長の実現に寄与できるのが援助だ」と付け加えた。(堤環作)