イスラエルの娼婦がファッション業界で夢をつかむ!? ボランティアがサポート

イスラエルの娼婦たちの「転職」をサポートする動きが広がり始めた。転職先のひとつとなっているのがファッション業界だ。

1月3日付ニューヨークタイムズによると、仕掛け人のひとりが、ファッション誌の記者ライラックさんだ。ライラックさんはボランティアで、レイプ被害センターの相談員やヘブライ語のニュースサイトの編集者を務めている。たまたま引っ越し先の隣人が娼婦だったことから、セックスワーカーの不幸な境遇を直接聞き、彼女らの生活をなんとか変えられないかと思い立ったのがきっかけだった。

ライラックさんはさっそく、娼婦らを集め、ドレスのデザインや縫製技術を無料で教え始めた。この“コース”を終えた後、奨学金を得て、テルアビブのファッションデザインの専門学校に進学した人もいる。洋服店に就職した女性もいる。

売春業からの脱却を支援するのはライラックさんだけではない。レイプ被害センターの他の相談員たちも、米国のNGOから資金を調達し、縫製技術や服のデザインを娼婦たちに教えている。生徒となる娼婦の多くは、きちんと教育を受けたことがないうえに、刑務所帰りもいる。「洋服店で働くことは、元娼婦たちにとって社会に溶け込む良い機会になる」と相談員らは意義を語る。

イスラエルではここにきて、買春を「違法」にする動きが強まりつつある。人口800万人のイスラエルには1万5000~2万人の娼婦がいるとみられるが、この多くは、東欧やインドなどの外国人。だがなかにはイスラエル人やトランスジェンダーの娼婦もいるという。こうした娼婦らにとって、買春の違法化は生活にかかわる問題だ。

イスラエルの娼婦は言う。

「自分は誰からも愛されていないし、生き延びるためには売春しかないと思っていた。無料のファッションコースに入っても、授業を理解できるか不安だった。でも今は違う。洋服のコーディネートを手がけてみたい。私には新しい人生が待っている」(今井ゆき)