米経済誌フォーブスは、アンゴラ人女性のイサベル・ドス・サントス氏(40歳)を「アフリカ初の女性大富豪」と認定する記事を1月23日付で同誌のウェブサイトに掲載した。イサベル氏の総資産は900億円以上。父親は、アンゴラのジョゼ・ドス・サントス大統領だ。
イサベル氏は24歳のとき、レストラン経営をスタート。その後、アンゴラの旧宗主国ポルトガルのテレビ局や銀行、アンゴラの銀行などの株式を次々に取得した。アンゴラの携帯電話会社の株式25%も保有する。
イサベル氏がビジネスウーマンとしてここまでのし上がったことについて、米ジョンズ・ホプキンス大学のピーター・ルイス教授は「彼女の父親は、1979年から現在まで大統領としてアンゴラを支配している。アンゴラのビジネスには透明性がない。大統領の家族であれば、うまくビジネスの世界に入れる」と指摘する。
ちなみにアンゴラは「石油立国」だ。2010年の統計では、石油の輸出額は477億ドル(約4兆3000億円)と世界16位。石油収入は国内総生産(GDP)の56%、輸出額の95%を占める。2007年まで年平均21.1%という驚異的な経済成長も記録している。
ところが、石油産業がけん引する経済成長の恩恵は国民に行き届いていないのが現実だ。GDPに占める教育予算は2.7%と世界でも最低レベル。乳幼児死亡率は世界で最も高く、平均寿命はわずか38.2歳。国内には数百万発の地雷が埋まっているといわれる。(今井ゆき)