世界第5位の輸出量を誇るウズベキスタンの綿花栽培は、「児童労働」と「強制労働」で成り立っている。ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)はかねて、ウェブサイトなどで、同国の劣悪な綿花の収穫作業を告発してきた。
ウズベキスタンでの綿花収穫は9月から始まり、11月まで続く。その間、ウズベキスタン政府は100万人以上の国民を総動員し、綿花の収穫にあたらせる。問題は、その収穫作業に9歳の子どもから、大学生、医者、教師、看護師、サラリーマン、公務員までが強制的に駆り出されている点だ。
子どもたちは綿花の収穫時期になると学校を休まざるを得ない。遠く離れた綿花畑までバスで連れて行かれ、収穫期間中は不衛生な宿舎の中で寝泊りし、病気が蔓延することもある。大人と年長の子どもには、1日あたり最低60キログラムの綿花を収穫するノルマが課される。
労働中に暴行を受けたり、病気にかかって亡くなる人もいる。2012年10月には、ノルマを達成する前に持ち場を離れた学生が、警察に殴打されて死亡するという事件が報告された。
ウズベキスタンは2011年に世界第5位の綿花輸出国となった。その陰には、こうした国民を総動員する強制労働の実態がある。国際人権団体の視察を拒み、綿花栽培を取材するジャーナリストや人権活動家は容赦なく逮捕される。
2012年に政府は、綿花の収穫を強制する年少の子どもの数を減らした。しかし地元の人権活動団体の報告によると、少なくとも3カ所で9歳の子どもを強制的に働かせている。年少の子どもによる労働の不足分を補うため、政府はより多くの15~18歳の青少年を強制労働に駆り出した。
同じ年、政府は国際労働機関(ILO)による監視団の収穫期間中の入国許可の要請を4年連続で拒絶。代わりに、強制労働の存在を否定し、綿畑にいる幼い子どもの数が減っていることを自慢した。
「綿花の収穫を強制される年代の変動は、ウズベキスタン政府が批判をそらすための、ひねくれたその場しのぎです。大人にせよ、子どもにせよ、違法で、搾取的な強制労働の仕組みは、依然として根強く残されています」とHRWのスティーブ・スウェドレー調査員は言う。
2013年1月の時点で、欧米やオーストラリアのアパレルブランドや企業100社以上が「自社のサプライチェーンでウズベキスタン産の綿を故意に使用しない」という誓約書に署名した。その中には高級服として知られるブランドも含まれ、ウズベキスタンでの綿花生産における強制労働を終わらせるため団結している。(今井ゆき)