上海ではなかなか澄みきった空を見ることはできない。これは1年半前(2011年秋)にこちらに来てからずっと思っていることだ。
晴れた日でも、どこか薄らともやがかかった気がする。街を離れると、あまり気にならないので市街地だけで感じられることのようだ。日本で、東京と地方都市を行き来していた頃も、あきらかな空気の違いを感じて、地方に着くたびに大きく息をしたものだった。それと似た状況なのかもしれない。
今、大きく取り上げられている中国の大気汚染の話を初めて聞いたのは、確か1月半ばのことだったと思う。同僚の北京に暮らす知人が2日間の出社停止になったとのこと。「上海に来ればいいのに」などと当時は話していたが、2月に入ると北京近隣だけの問題にとどまらず、日本へもたどりついているというニュースを目にするようになった。
ただし、上海はいつもの通り、うっすらともやがかかった空の下で人々は暮らしている。こちらのニュースでも取り上げられているようだし、みんな気にしていない訳ではないのだろうが、あまり現地の人との会話では話題にはならないのである。初めてPM2.5という文字を目にした時は、新しい人気グループかと思ってしまった。
距離を見てみると、北京から東京は約2100キロメートル。福岡までは1500キロメートル弱。一方、北京から上海は約1000キロメートル。そして風向きを調べると、偏西風として西から東に吹く風が影響しているとのこと。結局、北京の大気汚染は日本に向かう風に乗る傾向が強いので、上海よりも日本に向かってしまうのかもしれない。
ところで車を持っている方は洗車をどれぐらいの頻度でやられているだろうか。私は日本で車を所有していた時は、ほとんど洗車をしなかった。汚れは他の車より目立っていたから、褒められることではないけれど、雨が洗車の役割の一部を担ってくれていたので、あまり気にならなかったのだ。ただし、こちらでは雨が降ると車が汚れる。いつの日か雨が洗車の変わりになる日が来たら私も嬉しい。(上海=真下智史)