チャイナリスクは「高まった」が7割、JETRO調査

日本貿易振興機構(JETRO)は3月28日、日本企業の海外ビジネス動向についてアンケート調査(有効回答数1957社)した結果をまとめた。日本企業の海外進出意欲は2011年の調査と比べてややトーンダウンしたこと、チャイナリスクを懸念する声が高まっていることなどが浮き彫りとなった。要点は下の通り。

【海外進出】

・海外事業(新規投資や既存拠点の拡充)の今後の方針について、「拡大する」と答えた企業の割合は69.2%に低下した(11年度は73.2%)。中小企業に限っても65.9%(同71.4%)。

・海外事業を拡大する理由は、「海外での需要増加」が75.6%で最多。以下、「国内需要の減少」(56.8%)、「円高の影響」(17.4%)など。

・海外事業の縮小・撤退または今後も海外事業を行わない理由を中小企業に質問すると、「経営資源(資金、人材、競争力)がない」が41.3%で最多。「国内需要重視」(38.9%)、「リスクが大きい」(33.3%)など。

【輸出】

・今後の輸出ターゲット国は、全体では中国が49.1%でトップ。ただ飲食料品は米国、一般機械はタイ、自動車などの輸送機器はインドネシアが最多だった。

・輸出の今後の方針について、「拡大する」は75.2%に下降(同78.8%)。ただ中小企業に限ると「今後新たに輸出に取り組みたい」は12.7%に上昇した(同7.0%)。

【新興国のビジネス環境】

・新興国のビジネスリスクをみると、中国について「政情リスク」「知財保護」「人件費」など7項目を指摘する企業の回答率が20%を超えた。ミャンマーは「インフラ」「法制度」などの5項目で20%以上。タイやインドネシアでは「人件費」の高さが懸念されていて、それぞれ30.1%、21.0%。

【中国ビジネス】

・中国でのビジネスリスクについて「高まった」と答えた企業は69.8%に達した(10年度は52.7%)。

・中国での今後のビジネス展開(貿易、業務委託、技術提携、直接投資)について、「既存ビジネスを拡充する、新規ビジネスを検討する」は61.2%に低下した(10年度は77.9%)。代わって「既存ビジネスの縮小・撤退を検討する」が7.5%に上昇している(10年度2.4%)。

・中国ビジネスの縮小・撤退を検討する理由は、「カントリーリスク」が55.0%で半数以上。次いで「生産コスト」(38.5%)、「法制度」(31.2%)。

・中国ビジネスを続ける理由は、「市場規模や成長性」が69.5%でダントツ。「生産コストの優位性」と答えたのは、中小企業の23.4%、大企業では15.5%だった。

・中国ビジネスが以前の状態に回復する時期の見通しについて、「13年3月末」と答えた企業は38.8%。「1年以内(~2013年9月末)」が62.6%、「見通しが立たない」は20.6%。

・12年度の中国ビジネスの業績について、企業の55.1%が「売上高が当初見込みから減少」、51.6%が「営業利益が当初見込みから減少」との見通しを示した。