途上国と先進国の若者が開発について議論する「国際開発ユースフォーラム」(IDYF)が3月11~17日、東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで開かれた。アジアやラテンアメリカ、アフリカ、欧州、オセアニアから約50人が参加し、ミレニアム開発目標(MDGs)をテーマにディスカッションした。
最初のプログラムは「ナショナルレポート」。これは、それぞれの参加者が自国の社会の良い点と悪い点を、写真を使って説明するというものだ。
途上国、とりわけアジアからの参加者が共通して問題視したのが、政府関係者の「汚職」。政府開発援助(ODA)が効率よく使われず、開発を妨げていると主張する声が多かった。
「大虐殺」のイメージが色濃いルワンダからの参加者は「大虐殺ばかりがいつも強調されるが、ルワンダはその後発展を遂げている。今やアフリカで最も安全で衛生的な国のひとつだ」と訴えた。
先進国の参加者らが口を揃えたのは「失業」や「ホームレス」の問題。日本の参加者は「ワーカホリック」や「自殺」の深刻さを強調した。
良い点として一様に挙がったのは「家族を大切にする文化」や「人々の明るさ」など。これは、発展の度合いに関係なく、多くの国の参加者が口にした。
ナショナルレポートの後、多くの時間が割かれたのはグループディスカッションだ。教育、環境、ガバナンス、ビジネス、紛争の5つのテーマのワーキンググループに分かれて議論した。
MDGsの欠点について参加者らは「実効性が甘い」「ガバナンス(統治機構や行政能力、制度など)や紛争、ビジネスなど重要な概念が欠落している」などと指摘。2015年以降のポストMDGsでは「持続可能性」と「平等」を強調すべきだとの意見で一致した。
白熱したのは紛争グループの議論だ。参加者らは「紛争の予防策」として、①地元のニーズをより反映した開発プログラムを実施すること②軍備縮小③交渉のためのプラットフォームを設置すること④地域間協力の役割を再考すること――の4つを提示。また「紛争の解決策」としては、「国連の役割の強化」と「常任理事国がもつ拒否権の制限」などを挙げた。
さらに「紛争の再発防止策」では、元兵士に偏見なく仕事を分配すること、DDR(武装解除・動員解除・社会復帰)とSSR(治安部門改善)を連携させる必要性を強く訴えた。
フォーラムの最終日には公開で最終報告会が開かれた。参加者らは、こうした議論を踏まえ、グループごとに作成した「理想の社会に向けた2015年以降のMDGs“Mirai Development Goals”」を発表した。
IDYFは、途上国と先進国の若者が一堂に会し、①多様な価値観の交流②経験・知識の各国への還元③開発をテーマにしたユース間のプラットフォーム創出を目的に、2012年8月、日本の学生のイニシアチブで設立されたもの。今回が最初のイベント。