TICAD Vに日本の技術が集結、アフリカで地雷撤去も

日立建機が製作する対人地雷除去機

第5回アフリカ開発会議(TICAD V)の公式イベント「アフリカン・フェア2013」には日本の技術が集結した。80近い日本の企業・団体が、食品、医療、電力、情報通信、環境保全、水、交通、衣料などのテーマで、アフリカ市場で受け入れられている、または受け入れられそうな自社製品を展示した。

多くの来場者が足を止めたのが、日立建機が製作する対人地雷除去機だ。この建機は油圧ショベルをベースとした高い機動性と汎用性を併せもつ。ビット付きドラムを高速で回転させ、土の中の埋まっている地雷を粉砕する。アタッチメントを交換すれば、さまざまな環境の地雷への対応が可能だ。モザンビークやアンゴラ、カンボジア、アフガニスタン、コロンビア、ニカラグアなど9カ国で107台が稼働中。

味の素は、同社の強みであるアミノ酸技術を応用した栄養サプリメント「ココプラス」を紹介した。ガーナで食べられる離乳食(おかゆ)を「ココ」と呼ぶが、ココに不足しているたんぱく質やアミノ酸、ビタミン、ミネラルなどを補うのがこのココプラスだ。ガーナ人に好まれる味と香りが特徴。

納豆菌を使った水質浄化剤もある。ビッグバイオ(熊本県宇城市)が開発したもので、商品名は「エコーバイオロック」。ブロック状のこの浄化剤を水の中に入れると、好気性の納豆菌が活性化、増殖し、腐敗のもととなる有機物を分解。水の汚れを除去するという。

腐食しないという炭素繊維ならではの特性を生かした水質浄化材をPRするのはソーエン(群馬県高崎市)だ。炭素繊維が水中に広がって、大きな表面積を作り、水を汚す物質を吸着。微生物がそれを分解する。

角野製作所(岐阜県恵那市)は、1秒間にわずか5リットルの水が流れるだけで発電できる螺旋式の超小型水力発電装置「ポコピカ」を展示した。日本では環境教育・防災キットとして普及しているが、アフリカの無電化地域でも役に立ちそうだ。

住友化学は、防虫剤を練りこんだポリエチレン製の糸で織ったマラリア予防用の蚊帳「オリセットネット」を改めてPR。この蚊帳は、世界保健機関(WHO)が使用を推奨しているもので、TICAD Vでも多くの首脳・高官が、マラリア感染者を減らした要因のひとつに挙げ、その功績を絶賛した。

マラリアやデング熱の予防法は蚊帳だけではない。PHILIA(東京都港区)は、感染症を媒介するハマダラカなどの発生を抑制する製品を開発した。商品名はその名の通り「ゼロモズ」。蚊が卵を産み、成長する水の中にゼロモズを投入すると、蚊の卵や幼虫、さなぎはホルモンバランスを崩し、成長を止めるという。

トヨトミ(名古屋市瑞穂区)は、煙やススを出さない調理用石油コンロをラインアップ。アフリカで使われる石油コンロの多くは使用中に煙・ススを出すため、健康被害が深刻な問題となっている。このコンロは屋内で使っても安全というのが強み。

ZERO MOZ JAPAN(熊本市中央区)が売り込んでいるのは、汲み取り式トイレのにおいを納豆菌の力で軽減するバイオ消臭剤「汲み取り納豆キング」。まくだけで、アンモニアや有機物を水と炭酸ガスにする。

シャープがPRするのは、太陽光発電による電力を利用し、食品を冷蔵・冷凍保存できる「ソーラー蓄冷冷凍ストッカー」だ。無電化地域はもちろん、電力供給が不安定な地域でも停電するたびに食品が腐ることもあることから、途上国の人にとってこの商品はかなり有用だ。