途上国で収奪された土地は日本の国土以上、米国・英国・マレーシア・UAEの企業が群がる

アフリカは、世界から土地収奪の格好の標的となっている。安い土地が広がっているからだ。そこに群がる買い手は、米国や英国、マレーシア、アラブ首長国連邦(UAE)などの企業――。オールアフリカは6月10日、国際土地連合(ILC)が発表した報告書をもとにこうした記事を掲載した。

ILCによると、アフリカや南アジア、ラテンアメリカではこれまでに、4500万ヘクタールの土地が売られた、または売られつつあるという。これは、欧州にある農地の60%の広さに相当する。日本の国土の1.2倍でもある。

海外の投資家に土地を奪われた住民は、生活の糧である農地や放牧地、森林などを追われる。企業が手に入れた土地は多くの場合、大規模農園に転換され、そこで栽培するのは、主に輸出向けとなる食料やバイオ燃料作物だ。その比率は大ざっぱにいって半々だという。だが「投資家によっては農業をせず、土地投機にのみ関心のある人もいる」(ILC)というのが実態だ。

ILCによれば、アフリカの農地の多くは地域の共有財産になっている。またアジアやラテンアメリカでは、土地の所有を証明する正式な書類をもっていない小農や先住民は数億人に上る。このため農民らが政府を訴えても、政府は相手にせず、その土地を投資家に売却またはリースしてしまう。

土地を収奪する海外の投資家は年金基金や投資会社で、「農地は将来大きな利益を生む商品」として追い求める。ILCは「投資家は年間20~25%の利回りを求めているが、土地収奪でそれを達成している」と指摘する。

オールアフリカが土地収奪のひどい例として挙げたのは、南スーダンとパプアニューギニアだ。パプアニューギニアでは取引された土地の多くがパームオイルの生産地に姿を変えたという。

インド西部のグジャラート州では、過去3年で5万ヘクタール以上の土地が「開発」の名のもとで企業に売られた。この結果、約12万5000人が経済地区に移り住むことを余儀なくされたが、教育を受けていないほとんどの農民にとって、工場の仕事に就くのは至難の業だという。

多くの企業は、必要とする面積よりたくさんの土地を購入する。その土地を転売し、もうけを得る。グジャラートの土地価格は、この10年で20倍に跳ね上がったという。こうしたやり方について地元の農民は「われわれは自分の土地を離れたくない。多くの人に知ってもらいたいのは、土地のベストな使い方は、食料を作ることだ」と憤る。

ILCは、100近いNGO・国際機関が参加する団体。世界銀行や国連環境計画(UNEP)も名を連ねている。