外務省は、2014年度の概算要求で6843億円(前年度当初予算比で12.5%増)を計上した。このうち政府開発援助(ODA)に充てられるのは同11.7%増の4706億円。ODA以外の2128億円は「一般的な政策経費」となっている。
ODAの内訳をみると、「無償資金協力」が1811億円で、前年度当初予算より169億円多い。「JICA運営費交付金」は231億円増の1700億円。国際機関などに資金を出す「分担金・義務的拠出金」は843億円(172億円増)、「任意拠出金」は360億円(4億円増)。
ODAに対するスタンスとして外務省は「戦略的ODAの展開」を掲げている。ODAを供与する目的は、一義的には途上国の経済発展に貢献することだが、同時に日本の国益にかなうことが重要という考えだ。具体的には、①日本にとって好ましい国際環境を作るためのODA②新興国・途上国と日本が共に成長するODA③人間の安全保障を推進し、日本への信頼を強化するODA――という3本柱を盛り込んだ。
「日本にとって好ましい国際環境を作る」の主な事業内容をみると、交通インフラの整備や行政官の育成など、東南アジア諸国連合(ASEAN)共同体の構築を支援していく。民政移管したミャンマーに対しては、法整備や少数民族、民主化促進に不可欠なメディアなどをサポート。さらに、中東や北アフリカなどでは平和構築やテロ対策に資するプロジェクトを実施する。
「新興国・途上国と日本が共に成長する」の目玉は、インフラシステムの輸出、中小企業の国際展開支援、医療技術・サービスの国際展開、国際標準の獲得(日本方式の普及)、低炭素電力システムなど環境技術の国際展開、ビジネス法制度と人材育成の支援などだ。新興国の成長を取り込み、日本経済を活性化させるのが狙い。ミャンマーとアフリカ向け支援を重視する。ODAを使って、東北の水産加工品を途上国に供与するなど、東日本大震災の被災地の復興にも取り組む。
「人間の安全保障」では、日本の防災技術を活用した強靭なインフラ整備を支援するなど、防災対策・災害復旧を支援していく。すべての人が基礎保健医療サービスを受けられるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進などにも取り組む。このほか、女子就学率の改善や暴力・人身取引からの保護を通じた女性の能力開花・活躍の支援、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成、青年海外協力隊やシニア海外ボランティアの派遣など国民参加の拡大にも力を注ぐ。