世界で最も競争力が低いのはチャド、世界経済フォーラムが発表

スイス・ジュネーブに本部を置く世界経済フォーラムは9月4日、「国際競争力レポート2013―2014」を発表した。競争力が高い国トップ3は前年と同じ顔触れで、スイス、シンガポール、フィンランド。ワースト3は、最下位からチャド、ギニア、ブルンジだった。日本は9位。調査対象は148カ国。

アジアの途上国で躍進しているのはマレーシアだ。24位と、韓国の25位をついに上回った。以下、中国29位、タイ37位、インドネシア38位、フィリピン59位、インド60位、ベトナム70位、ラオス81位、ブータン109位、バングラデシュ110位、ネパール117位、パキスタン133位、ミャンマー139位など。東南アジア諸国連合(ASEAN)主要国の競争力が軒並み高く評価された。

これ以外の注目ポイントは、中国とインドの順位差が、2006年の8から、現在は31にまで広がったこと。また、G20の中で順位を最も上げたのはインドネシアで、12ランクアップ。対照的に衣料品輸出が経済をけん引するバングラデシュは3年連続で順位を下げた。

中東・北アフリカでは、13位のカタールが域内トップ。アラブ首長国連邦(UAE)とサウジアラビアはそれぞれ19位、20位に付けた。政情不安が続くエジプトは前年から11も下げ、118位となった。シリアは調査対象外。

サブサハラ(サハラ砂漠以南の)アフリカでは、モーリシャスが45位と、南アフリカの53位を上回った。サブサハラアフリカで100位以内に入ったのはわずか8カ国しかない。そうした中で順位を大きく上げたのはケニアで96位。競争力を高めるには、教育や各種制度、インフラなどを地域全体で徹底的に改善する必要があるという。

またラテンアメリカでは、域内トップはチリの34位。以下、パナマ40位、コスタリカ54位、メキシコ55位、ブラジル56位と続く。世界屈指の産油国ベネズエラは134位と、域内ではハイチ(143位)に次いでワースト2。この地域は生産性の低さが大きなネックだ。

世界経済フォーラムの競争力ランキングは、同団体の国際競争力指数(GCI)に基づくもの。GCIを算出するデータのベースとなるのは、制度、インフラ、マクロ経済環境、健康と初等教育、高等教育と職業訓練、市場の効率性、雇用市場の効率性、金融市場の成熟、テクノロジーの応用力、市場の規模、ビジネスの成熟度、イノベーション力の12項目。

同フォーラムのクラウス・シュワブ会長は「イノベーションは、その国が将来の繁栄を築き上げる能力という観点からより重要だ。先進国と途上国を区別するやり方は次第に消えていき、その代わり『イノベーション先進国』か『イノベーション貧困国』かという見方が主流になってくると思う」とコメントする。