【グロフェス2013】国際協力の仕事の「選び方」、あなたはJICA・NGO・開発コンサルのどれがいい?

都内にある日比谷公園の特設サブステージで10月6日に開かれた特別セミナー「国際協力をシゴトにしよう」。左から、司会進行を務めた国際開発ジャーナル編集部の古田亜以子氏、JICAの大野翔太郎氏、JINの中西政文氏、難民を助ける会の古川千晶氏

国内最大の国際協力イベント「グローバルフェスタJAPAN2013」で10月6日、特別セミナー「国際協力をシゴトにしよう」(企画:国際開発ジャーナル社)が開かれた。国際協力機構(JICA)、国際協力NGO難民を助ける会、開発コンサル会社JINから3人が登壇し、官・NGO・民のそれぞれの立場から国際協力の仕事の“違い”を語った。

最初に登場したのはJICA人事部の大野翔太郎氏。JICAの特徴について「援助国全体と現場の両方をみられるのがJICAだと思う」と説明した。

JICAといえば、学生にとってみれば青年海外協力隊のイメージが強いかもしれない。だがそれはJICAが手がける業務のほんの一部。JICAはスケールの大きな国家プロジェクトをいくつも支援している。トルコのボスポラス海峡を海底で横断する地下鉄(約990億円の円借款)やタイ・バンコクのスワンナブーム空港(同約1990億円)などの建設プロジェクトが有名だが、ひとつひとつ挙げれば枚挙にいとまがない。

JICA職員の仕事は、現場が意外と少ないのが特徴だ。大野氏は「JICA在職10年のうち海外に駐在したのは3年くらい」と話す。プロジェクトの一線で仕事をするのはJICA専門家と呼ばれる人たちで、JICA職員の任務は、そういった人たちと連携しながら、国や地域のニーズを俯瞰してプロジェクトの進ちょくをサポートすることだ。

これに対して現場色が強いのはNGO。難民を助ける会の古川千晶氏は「専門性はいまはないけれど何かしたいと思う人や、やりがいさえあれば給料は気にしないという人は、現地の人と触れ合ったり、一緒に生活する機会の多いNGOへの就職を勧めたい」と力を込める。

NGOのスタッフになって、その人の専門性と途上国のニーズが合致すれば、現地へ派遣されるチャンスはたくさんある。現地の人と一緒に何かを作り上げる過程は大きなやりがいを感じられるという。

古川氏は「何気ない会話から、現地のニーズが浮き彫りになることもある。現地の人と同じ目線に立つことを常に心がけている」と熱く話した。

民間企業に就職しても、国際協力に携わることはできる。JINには、教育や農業技術など多種多様な専門をもつ開発コンサルタントが所属している。個人で、またはチームを組み、途上国でさまざまな開発プロジェクトを進める。

開発コンサル会社は、政府開発援助(ODA)案件も多く受注している。JINの中西政文氏は「専門性に加えて、語学力や調査技術力、研究を効率的に実行できる力などが求められる」と話す。開発コンサルタントには、海外で修士号や博士号を取得した者が多い。

これ以外にも、BOP(Base of the Pyramid=低所得者層)ビジネスを展開する企業や国際機関などに就職する道もある。また一般企業でも、ソーシャルが求められるいまの時代、国際協力の観点抜きの利益至上主義のビジネスはありえなくなりつつある。国際協力の仕事と一口に言ってもその形態はさまざまだ。(吉井翔子)