ガーナの魅力は、何といっても豊かな食文化だ。それぞれの地方、民族に特有の伝統料理があるため、バラエティに富む。味付けは基本的にどれもスパイシー。辛い物好きの私にとって、ガーナに来てからというもの、毎度の食事が楽しみで仕方ない。この連載では、2回にわたってガーナの伝統料理を紹介したい。
ガーナ料理と日本食の最大の違いは主食の種類だ。ガーナの主食は10種類以上。ざっと挙げただけでも、ヤムイモやキャッサバなどのイモ類から、トウモロコシやコメ、ソルガムやミレットなどの穀類、プランテン(調理用バナナ)までいろいろある。これらの主食を、スパイスのガツンと効いた肉や魚入りのスープやシチューと食べる。代表的な料理はこちら。
■フフ
フフは、ガーナで最もポピュラーな主食。アシャンティ州やセントラル州に住むアカン系の人たちの伝統料理だ。見た目や食感は日本のモチとよく似ている。味はほんのりイモの風味がするだけで、クセがなく食べやすい。肉や魚入りのピーナッツスープ、ライトスープ(トマトやタマネギ、トウガラシを煮込んだスープ)、真っ赤なパームオイルのスープなどと一緒に食べる。手でちぎって、かまずにスープとともに飲み込むのがガーナ流だ。
もちと同じように、少しでわりと腹持ちがするため、多くの外国人には、拳よりちょっと大きめの量でちょうどいい。でもガーナ人は、その2~3倍の量をペロッと平らげてしまうから驚きだ。
フフをはじめ、ガーナの主食はお腹に重いのに、ガーナ人の食べる量は半端ない。抜群のプロポーションをもつガーナの女の子たちのお腹がぽっこり出ているのはこのためだと思う。
フフはまた、食感だけでなく、作り方ももちと似ている。キャッサバ(またはヤムイモ)とプランテンを臼に入れ、木の杵でつく。途中で水をつけて裏返すさまは、まさに餅つきそのものだ。
アシャンティ州でフフがよく食べられるのには、キャッサバやプランテンの栽培が盛んという理由がある。降雨量が少なくてプランテンなどが育ちにくいノーザン州では、ヤムイモからフフを作っている。フフはガーナだけでなく、コードジボワールやコンゴ民主共和国などでもポピュラーと聞く。