2013年に命を落とした「人道支援要員」は全世界で155人、過去最多とOCHA

国連人道問題調整事務所(OCHA)神戸事務所は、8月19日の「世界人道デー」に併せて「殺害や誘拐、重症を負った人道支援要員の数が2013年は460人と過去最多に上った」とするメッセージを発表した。ヒューマニタリアン・アウトカムズの「エイドワーカー・セキュリティ・レポート2014」によると、13年に起きた人道支援要員に対する攻撃事件は全世界で251件、被害者は460人。内訳は死亡155人、重傷171人、誘拐134人だった。被害者総数は前年比66%の増加。

人道支援要員への攻撃事件が最も多かった国・地域はアフガニスタンで、全体の3割超の81件。以下、シリア(43件)、南スーダン(35件)、パキスタン(17件)、スーダン(16件)の順。この5カ国で全体の4分の3を占めた。殺された人道支援要員155人のうち、半分以上の81人がアフガニスタンで命を落とした。

また、攻撃を受けた人道支援要員を組織のタイプ別にみると、全体の43%が「国内のNGO、国内の赤十字・赤新月社」。国際NGOが28%、国連の人道支援機関は24%だった。

さらに、道端で待ち伏せされ、移動中に路上で襲撃にあうケースが、イエメン、スーダン、中央アフリカ共和国(CAR)、アフガニスタンでは4割以上にのぼった。

14年に入っても人道支援要員が襲われるケースは後を絶たない。上期には、パレスチナ・ガザ地区や南スーダンで人道支援要員への攻撃・殺害が相次いだ。8月13日時点の速報値によれば、1月からすでに79人が死亡。こうした攻撃は7、8月に急増しており、ガザ地区や南スーダンでの被害も含まれる。

世界人道デーは、2003年8月19日にイラクの首都バグダッドで起きた国連事務所爆破事件を契機に制定されたもの。この事件ではセルジオ・ビエイラ・デメロ国連事務総長イラク特別代表ら22人が命を落とした。(堤環作)