世界で殺人率が高い国ランキング、ホンジュラス・ベネズエラ・ベリーズと中南米が独占

地域別にみた殺人率。アフリカと中南米の悪さが歴然(出所:世界殺人報告2013)

国連薬物犯罪事務所(UNDOC)が4月に発表した「世界殺人報告2013」によると、殺人で命をなくした人の数は2012年、世界で43万7000人に上った。世界の殺人率(10万人当たり殺される人の数)は平均で6.2人。「最も危ない国」はホンジュラスで、10万人に90.4人(およそ1000人に1人)が殺された計算になる。以下、ワーストランキング。

世界の殺人率。赤が濃いほうが殺人率が高い(出所:世界殺人報告2013)

世界の殺人率。赤が濃いほうが殺人率が高い(出所:世界殺人報告2013)

1位、ホンジュラス90.4人
2位、ベネズエラ53.7人
3位、ベリーズ44.7人
4位、エルサルバドル41.2人
5位、グアテマラ39.9人
6位、ジャマイカ39.3人
7位、スワジランド33.8人
8位、セントクリストファー・ネビス33.6人
9位、南アフリカ31.0人
10位、コロンビア30.8人
11位、バハマ29.8人
12位、コンゴ民主共和国28.3人
12位、トリニダード・トバゴ28.3人
14位、プエルトリコ26.5人
15位、セントビンセント・グレナディーン25.6人
16位、ブラジル25.2人
17位、ルワンダ23.1人
18位、ドミニカ共和国22.1人
19位、セントルシア21.6人
20位、メキシコ21.5人

対照的に、殺人率が低かったのは、リヒテンシュタインの0.0人を筆頭に、シンガポール0.2人、アイスランド0.3人、日本0.3人(11年)、香港0.4人、クウェート0.4人など。

地域的な傾向をまとめると、殺人率は、南部アフリカと中米がそれぞれ30人、26人と圧倒的に高い。これに対して東アジア、南欧、西欧は平均の5分の1と「安全」だ。北アフリカ、東アフリカ、南アジアは政情不安を背景に殺人率が上昇中。注目すべきは、殺人の半分は、世界人口の11%しか住んでいない地域(主にアメリカ大陸とアフリカ)で起きていることだ。

治安は当然、地方よりも都市のほうが悪い。殺人率を都市別にみると、最悪は、カリブ海の島しょ国セントクリストファー・ネビスの首都バセテールの131.6人(11年)。2位はベネズエラ・カラカスの122人(09年)。ただベネズエラは13年3月にチャベス大統領が死去し、国内の治安が急速に悪化していることから、直近の数字はこれを大きく上回る可能性が高い。

3位以下は、グアテマラ・グアテマラ市116.6人(10年)、ベリーズ・ベリーズ市105.1人(11年)、ホンジュラス・テグシガルパ102.2人(11年)が入った。中南米カリブ諸国の都市の治安の悪さが際立つ。

紛争・暴動終えん直後の国は殺人率が高い。理由は、「武器が路上にあふれていること」と「法の支配力がまだ弱いこと」の2つだ。相次いで襲来したハリケーンや10年の地震で暴動・略奪行為が横行するハイチの殺人率は07年の5.1人から12年には10.2人に倍増。また、11年に独立した南スーダンの殺人率は60人(13年)と世界トップクラスだ。

一方で、紛争後の和解プロセスが進むシエラレオネやリベリアは徐々に治安が改善している。また南アフリカの殺人率は1995年の64.5人から12年は31人へと半分になった。

殺人の方法を示したグラフ。アメリカ大陸では「銃器」、オセアニアでは「鋭器」が使われる(出所:世界殺人報告2013)

殺人の方法を示したグラフ。アメリカ大陸では「銃器」、オセアニアでは「鋭器」が使われる(出所:世界殺人報告2013)

世界で殺された人の80%、また加害者の95%が男性だ。DVで殺された人の数は6万3600人だったが、この70%に当たる4万3600人が女性。殺された人の過半数が30歳以下で、15歳未満の子どもも3万6000人と全体の8%を占めた。

殺人事件が起きた後、加害者に有罪判決が出る確率は世界平均で43%。地域差が大きく、欧州の81%に対し、アメリカ大陸は24%と低い。