「笑いは希望を生む」大阪の落語家らが8月にアフガニスタンで寄席公演

モノやお金だけではなく、笑いを届けることで、戦争が続くアフガニスタンの人々を元気にしたい―。この思いのもと、大阪の落語家らが結成した「チームお笑い国際便」が、今年8月に首都カブールに入る。国内避難民キャンプなどに支援物資を届け、現地の言葉で落語などの芸を披露する予定だ。

チームお笑い国際便のメンバーは、落語家の笑福亭鶴笑、桂三金両師をはじめ、マジシャンの阪野登、漫画家の高宮信一、フリージャーナリストの西谷文和の各氏。アフガン寄席には高宮氏を除くメンバーが参加する。

六代目の故笑福亭松鶴を師匠に持ち、仁鶴や鶴光、鶴瓶らが兄弟子の鶴笑師は、1999年のトルコ大地震の被災地で公演した際、国際医療協力NGO、国境なき医師団のメンバーに「鶴笑さんなら、笑いを通じた心のケアができる」と言われたことがきっかけで、「お笑い芸人だからこそできる国際貢献をしたい」と思うようになった。

鶴笑師は、シンガポールや英国に移住し、落語や日本文化の普及に努めた経験も持つ。
「笑いが希望を生んでくれるのではないだろうか、という思いで現地に行く」と話す。2010年にも三金師を除く4人がイラクを訪問して、アラビア語とクルド語で現地の人々に笑いを届けた。

8月のアフガニスタンでの活動に向けて、チームお笑い国際便は、広島市や大阪府内の各都市でチャリティ寄席を開いてきた。売上は、経費を除き全額アフガニスタン支援に充てられる。

6月28日に和歌山市で開かれたチャリティ寄席の会場には、老若男女問わず30人ほどが集まった。

初めに漫画家の高宮信一氏が登場。会場に来ていた子どもたちや女性の似顔絵を、それぞれの好きなものと一緒に描いた。
続いて、マジシャンの阪野登氏がマジックを披露。阪野氏は、言葉が通じない海外では、笛を使って芸を披露することもあるという。

次に、落語家の桂三金が、120キロの体重をネタにした創作落語を披露。三金が「周りの人に、避難民キャンプに行くと話しても、この体型だと心配してもらえない」と話すと、会場は爆笑につつまれた。

トリに笑福亭鶴笑氏が登場し、人形を使った「パペット落語」を披露。全身を使った芸に、会場は大爆笑となった。
またフリージャーナリストの西谷文和氏が、映像を使ってアフガニスタンの現状を報告。会場に来ていた子どもたちに分かりやすい言葉で語りかけながら、アフガニスタンでは子どもが皆学校に行っているわけではないことや、米軍の誤爆や地雷による民間人への被害などを説明した。

帰国報告会も予定されている。2014年10月7日18時半から、天満天神繁昌亭(大阪市北区)にて開催予定。(西森佳奈)