ブラジルで殺される青少年は1日28人、20年で倍増

報告書「ECA25年‐子どもと青少年の改善点と課題」の表紙

国連児童基金(UNICEF)はこのほど、ブラジルで殺される青少年の数がここ20年で倍増したとする報告書「ECA25年‐子どもと青少年の改善点と課題」を発表した。青少年が被害となった殺人事件の数は、1993年の約5000件から2013年には1万500件へと激増。1日平均28人の青少年が殺される計算だ。ブラジルは、19歳未満の子どもの殺人事件数では世界で2番目に多い。

報告書は殺人以外についても言及。1歳未満で死亡する可能性は、先住民のほうが、それ以外の子どもの2倍に達することを明らかにした。また、300万人以上の青少年がいまだに学校に通えない事実にも触れ、「そのほとんどは貧困層、アフリカ系ブラジル人、先住民、キロンボとよばれる集落(逃亡奴隷がルーツの集落)の子どもたちだ」と指摘した。

報告書は一方で、ブラジルが教育面で大きな成果を残したことも取り上げた。これに寄与したのは、90年に施行された「子ども・青少年法」だ。この法律を受けてブラジル政府は、子どもの命と成長を守る政策・計画を次々と打ち出していったからだ。

その結果、ブラジルでは4~17歳の子どもの93%が基礎教育を受けられるようになった。学校に行けない子ども・青少年の割合は90~13年に20%から7%へと減少している。

さらに10~18歳の青少年の非識字率は90年の12.5%から13年には1.4%へと改善した。とりわけアフリカ系ブラジル人の識字率がアップした。