ファッションの西洋化が止まらない、ロンジー大国ミャンマーは今後も続くか

西洋のファッションショップをヤンゴン市内でまもなくオープンする女性

ミャンマー・ヤンゴン市内で、ミニスカートやドレスを売る店をオープンする40代のミャンマー人女性、テイさん。「ファッションの傾向は変わってきている。ミャンマー人にも売れるはず。1日の売り上げ目標は30万チャット(約3万円)」と意気込む。しかし、市内では今も、老若男女問わず、多くの人がロンジーを愛用している。ロンジーは、筒状になっていて、下半身全体に巻きつけるミャンマーの伝統的衣装だ。西洋ファッションはこの国で売れるのだろうか。

脚の露出が激しい服を着ることについて否定的に見る人は多い。ミャンマーの名門大学ヤンゴン第一医科大学に通う男子ピエイ・ペイ・ エインさんは「特に年配の人たちは『不作法だ』『まるで売春婦だ』と言うだろう」と述べる。ホテルで働く20代女性のノウ・ティ・ティ・トゥさんも、ミニスカートやショートドレスに抵抗があるようだ。「自分の脚を他人に見られるのは恥ずかしい。これからもロンジーを着ていたい」と言う。25本持っていると得意げに話す。

ヤンゴン市内のショッピングモール「タウ・ウィン・センター」の中にある洋服店。イスラム系の女性もウィンドウショッピングしていた

ヤンゴン市内のショッピングモール「タウ・ウィン・センター」の中にある洋服店。イスラム系の女性もウィンドウショッピングしていた

一方で、脚を露出させる服装について肯定的な意見もある。ホテル勤務の30代の男性マウンさんは「時と場合によるのではないか。自分のパートナーや妹が着ていても構わない」と話す。パゴダなどの宗教施設や学校に行くときは、脚を隠す必要があるが、ミニスカートやショートドレスは、ディナー・パーティーや同窓会、西洋式ウェディング、オフィスで着られるという。ナウさんの3人の友人は、映画館に行くときにミニスカートをはくとのことだ。

このように、西洋ファッションに保守的な人たちもいる中で、それを好む人たちも確実に存在する。2011年の経済改革以来、海外からの影響はとどまることを知らない。ロンジーは平均的に8000チャット(約800円)であり、ショートスカートは1万チャット(約1000円)と、価格は大差ない。このままミャンマーも西洋化が進み、他の国と変わらなくなってしまうのだろうか。ロンジー文化が廃れてしまうのも時間の問題かもしれない。