現金よりも「チャンス」を! ミャンマーの子どもたちを支援する前に考えよう

孤児院「アナイメキハ」とそこに住む子どもたち

ミャンマーでは孤児院や学校への支援活動が盛んだ。だが、よかれと思ってお金やモノを送っても、現地のニーズに合っていなければ宝の持ち腐れになってしまう。

ヤンゴン近郊にある孤児院「アナイメキハ」で暮らすチン州出身のソーミャセンダさん(20)は「お金よりも、夢に挑戦する『チャンス』がほしかった」と言う。高校を卒業し、今は孤児院で子どもに食事を作りながら生活する。「本当は歌手になりたかった。でも録音機材を買うお金がないから夢を諦めた。もうすぐ故郷に戻る」とソーミャセンダさんは肩を落とす。

アナイメキハでは、運営資金の一部を、子どもたちが作った洗剤(約750ミリリットル)を売ることでまかなっている。原価250チャット(約25円)のものを500チャット(約50円)で売る。だがこれだけでは運営できないので、孤児院を出て仕事を始めた人たちの寄付も頼りだ。

とはいえ、医者や教師などになりたいとの夢をもつ子どもが、実際に孤児院を出てすぐに就けるのは工場の仕事などが多い。ソーミャセンダさんは「後輩たちがそれぞれの夢へチャレンジできるように、篤志家にサポートをしてほしい」と言う。

「電力が足りないから使えないの」。こう悩みを打ち明けるのは、ヤンゴン近郊の寺子屋で教師をするズーミーミーゾウさん(18)。寺子屋には、米国の支援団体から送られた6台のパソコンがある。「パソコンは電力を消費するため学校の電源にはつなげない。自家発電機も壊れている」とズーミーミーゾウさん。

支援はとても助かるけれど、と前置きした上でゾウさんは続ける。「パソコンを送ってくれるのなら、ソーラーパネル(太陽光発電)も一緒にほしい。432人いる児童の将来のために今後はIT教育にも力を入れたいから」と話す。寺子屋に通うのは無料だが、運営費は月に18万円かかる。この費用を現在は100人ほどいるミャンマー国内の篤志家が負担している。

チャンスにつながる支援。経済発展が約束されたミャンマーで、国民の間の経済格差が広がらないようにするためにも、いかに貧しい子どもにチャンスを与えるかが今後の課題となりそうだ。