ミャンマー人の大学生は勉強熱心だ。その度合いは尋常ではない。大学をかけ持ちするのはよくある話。異常なほどの学習意欲はどこからくるのかを探ってみた。
ウィン・ピョ・コ君は大学2年生(18歳)。国立ヤンゴン大学と、ミャンマー・ヒューマンリソース・マネジメント・インスティトゥートという私立大学に通う。それぞれで、英米文学と経営を学ぶ。
「将来は起業家になって、社会に貢献したい。なぜここまで頑張るかって?自分の心と情熱に従っただけだよ」
ウィン君は授業をこなすだけでも大変なはずなのに、課外活動にも精力的だ。グローバル・ビジネス・チャレンジという世界中の大学生を対象とするビジネスコンテストでミャンマー代表に選ばれ、ポーランドでプレゼンテーションをした。現在は、ミャンマー・日本学生会議(IDFC)の運営メンバーとして、2016年2月に開く会議本番に向けての準備に奔走している。
トゥー・トゥー君は大学2年生(20歳)。国立のナショナル・マネジメント・カレッジではビジネス英語、ナショナル・コンピューティング・センター(NCC)ではコンピューター技術の習得に励む。NCCは、英国グリニッジ大学の授業をヤンゴンで提供している。彼は将来、IT企業で人材またはマーケティング部門で働くことを夢見る。
「他人に任せるのではなく、自ら行動したい。そうすることで社会は良くなると思う。また自分自身も成長できる」。これはトゥー・トゥー君の口癖。こう考えるようになったのは、軍部をはじめ一部の権力者に支配されてきたミャンマー政府へのやるせない思いも関係している、と語る。
ミャンマーには、大学をかけ持ちして、自分自身のため、ミャンマーのために、一生懸命勉強する大学生がたくさんいる。なかには、法に触れてまでして勉強する学生もいる。ミャンマーでは、国立大学を2つかけ持ちする行為は違法だ。見つかれば片方を強制退学させられる。ヤンゴン大学3年生(20歳)ニ・イ・ウさんの友人のひとりは実際、国立大学のかけ持ちが見つかって退学処分を受けた。
東南アジアの最貧国のひとつミャンマー。2011年の民主化を契機に、2014年の国内総生産(GDP)成長率は8.5%まで高まった。これからのミャンマー経済を支える学生たちの驚くほどの勉強熱心さは、この国の前途を明るく照らしている。