「音楽」でスラムの子どもの非行を防止! セブで活動するNPOセブンスピリットの挑戦

セブンスピリットの子どもたち。オレンジ色の服を着ているのは囚人(奥)

フィリピン・セブを拠点に、音楽教育を通じて、子どもたちが犯罪や非行に走らないように取り組む団体がある。NPO法人セブンスピリットだ。音楽教室を3年前に立ち上げ、セブのスラムの子どもたちを対象に、今では月曜日を除き毎日開いている。

セブのスラムでは、ドラッグや窃盗といった犯罪が蔓延している。スラムの母親たちは、仕事や子育て(貧困層の女性はたくさんの子どもを産んで育てる)に忙しいため、子ども一人ひとりに目が行き届かないのが実情。この結果、親にかまってもらえない子どもは、非行に走りがちだ。

セブンスプリットによると、音楽教室に通うことで、①スラムの子どもたちが犯罪にかかわる頻度を減らすことができる②楽器の練習を通して集中力が身に付き、学校の成績が向上するケースもある③家事を手伝うようになる④家庭での会話が増える――などのメリットがある。

同団体でインターンをする日本人女性は「活動が楽しくなり、物乞いをやめ、音楽に熱中し始めた子どももいる。セブンスピリットが子どもたちの居場所になれたら」と期待を口にする。

音楽教育の一環としてセブンスピリットは9月9日、セブ州拘留・リハビリセンターで、囚人との合同コンサートを開催した。演奏を担当したのは、セブンスピリットの子どもたちのほか、日本人学生有志の「UUUオーケストラ」、「セブ・フィルハーモニック・オーケストラ」。マイケル・ジャクソンの「スリラー」のリズムにあわせて、囚人たちはキレのある動きを披露。数百人の観光客を熱狂させた。

一糸乱れぬダンスを披露する囚人ら

一糸乱れぬダンスを披露する囚人ら

囚人のダンスの様子を見守っていた刑務所スタッフの男性は「ダンスを始めてから、囚人たちは規律を良く守るようになった。更生に向けて、刑務所内の雰囲気も良くなったように感じる」と話す。

セブンスピリットの田中宏明代表は、この日のコンサートについて「子どもたちにとっても、犯罪を考える貴重な機会となったと思う。できる限りこれからもコラボは続けていきたい」とコメントした。