日本のソフトパワーが失われつつある。「日本と韓国どちらが好きか」とフィリピン大学(UP)セブ校に通う大学生の男女52人に質問したところ、日本と答えたのは31人、韓国と答えたのが21人だった。
外務省の「ASEAN主要6カ国における対日世論調査」によると、日本のイメージについて「アニメ、ファッション、料理等新しい文化を発信する国」という答えた割合(複数回答あり)は、2008年の61%から、2014年は44%に低下した。
その背景にあるのが“韓国のソフトパワーの台頭”だ。セブ市内のホテルに勤務する40代の女性は「20年前と比べて韓国のイメージは(サブカルチャーなどで)良くなった」と話す。UPセブで実施したアンケート調査でも4割が「日本よりも韓国の方が好き」と答えた。
その主な理由は、音楽やドラマ、テレビゲームなど韓国のソフトパワーによるものだ。中でも特に人気を博しているのがK-POP。日本でもファンの多いK-POPだが、フィリピン人大学生も虜にする。「韓国の音楽はとてもノリが良くて大好きよ。歌っている人もとてもかわいい」と女子大学生は話す。
おもしろいのは、韓国が好きと答えた21人のうち17人が女性だったことだ。「K-POPの歌手はかわいい」「キュンとするドラマが多い」との意見が目立った。少女時代や2PMなどK-POPの美男美女グループや、韓国ドラマのラブストーリーが女性の心をつかんでいる。
日本の方が好きと答えた31人の意見を集約すると、「アニメが好き」「技術がすごい」「日本食が好き」との声が大半を占めた。圧倒的な支持を集めたアニメは「フェアリーテール」だ。「ワンピース」「ナルト」が続く。日本のソフトパワーも人気を保っているが、上昇しそうにない。
韓国のソフトパワーの勢いに押され気味の日本。だが学生のひとりはこんなことを言った。「韓国の文化は好きだけれど、韓国人は頑固だし、フレンドリーでもないので好きではない」。日本のソフトパワーは相対的に低下しているが、「日本人は優しくて、まじめ」と以前と変わらず多くの人に支持されている。