ヤンゴンの外れにある孤児院。干された洗濯物が生活感を出す
ミャンマー・ヤンゴンに、同国北部で四半世紀以上続くカチン紛争で両親を失った子どもを多く受け入れる孤児院がある。名称はミャンマー語で「無限大の愛」。経営者であるチェリー・ウィさん(39)自身もカチン族出身で、2008年にこの孤児院を設立した。カチン族がキリスト教徒であることも手伝って、孤児院では、キリスト教思想に基づく取り組みを進め、孤児の間で起こりうるトラブルを予防している。
「子どもたちのグループを作って、土曜日と日曜日の朝と晩に、聖書の読み聞かせを教会でするの」とチェリーさん。聖書を通して、「生きること」や「お互いを愛すること」について話し合う。この活動は設立当初から続いているという。
孤児院で暮らすのはキリスト教徒だけではない。仏教徒や精霊信仰(アニミズム)の信者もいる。キリスト教の活動に、仏教徒らが参加するかどうかは自由。子どもたちにキリスト教の教えを強制するのではなく、それぞれが信仰する宗教を尊重することを重視している。
「お互いが信仰する宗教に対して嫌味を言うことは悪いことだと教えている。これが、子どもたちの間でいつまでも仲良くなることにつながるの」とチェリーさんは自信を持って語る。