日本を代表するアイドルグループ「AKB48」の新天地として、JKT48(ジャカルタ)、SNH48(上海)に続き、「CEB(セブ)48」は誕生するか――。フィリピン・セブの路上や大学構内で27人の男子学生を対象に“AKB48総選挙 in セブ”を実施したところ、1位に輝いたのは、ゆきりんこと柏木由紀(5票)だった。以下、宮脇さくら(4票)、柴田阿弥(3票)が続いた。
セブの総選挙では、2015年の総選挙選抜メンバー16人の写真を見せ、その中から投票してもらう形式をとった。意外にも、日本で絶大な人気を誇る指原莉乃は9位、渡辺麻友は4位といまひとつ振るわなかった。
柏木由紀への支持が高かった理由を尋ねると、「笑顔が良い」「目がぱっちりしている」「シンプルな顔立ち」といった回答が並ぶ。CEB48を立ち上げる際の絶対条件は、“ゆきりん系”の顔立ちの美女をいかに集めるかがカギとなりそうだ。
フィリピンでウケる「かわいさ」を考えるうえで、参考となるのが、この国のアイドルだ。フィリピンの若者からの人気を二分するのは、ともに女優であるライザ・ソベラノとキャサリン・バルナルド。ライザは、黒木メイサ似の16歳の米系ハーフ、キャサリンは子役時代から活躍する13歳の女優だ。
この2人について、レイナード・アルクイーズさん(20)は「かわいい、美しいといった外見はもちろん、タレント性が高くて人柄も良い」とコメントする。十代の女子が人気を集めているという点も、ファンがアイドルを見つけて応援していくというスタイルの“AKB戦略”と共通点を見出せそうだ。
フィリピンはまた、アイドルの潜在的なファンである若者の人口が多いことも魅力だ。国連によると、30歳以下の人口は全体の6割以上(6000万人以上)。さらにセブはフィリピンの中でも急成長している都市のひとつであり、英語留学に来る日本人が押し寄せることでも有名だ。これに加えてフィリピンではかねて、日本文化が浸透している。ドラゴンボールや進撃の巨人といったマンガ、刺身や寿司などの日本食も人気が高い。
地元の大学の3年生レイナンテ・アルクエーザさんは「ユーチューブを見て、AKB48の松井珠理奈のファンになった。CEB48が立ち上がったら、ライブが楽しみ。韓国のアーティストのライブに行ったことがあるけど、料金は1500ペソ(約3900円)と高かった。CEB48のライブは500ペソ(約1300円)ぐらいに下げると、たくさんの若者が行けると思う」と話す。
日本のアイドル市場は、国内の人口減少とも相まって、衰退期に差しかかっている。アジアで新天地をいかに開拓できるか。候補地を考えたとき、セブは、日本式アイドルが根付くポテンシャルが高いといえるかもしれない。