英国の慈善団体「チャリティーエイド基金(CAF)」は11月10日、世界各国の“慈悲深さ”を数値化した「2015年世界寄付指数」を発表した。評価基準は、調査日までの過去1カ月に「金銭を寄付をしたか」「ボランティアをしたか」「見ず知らずの人を助けたか」の3項目の比率。総合1位に輝いたのは、前年に続きミャンマーだった。
上座部仏教の国として知られるミャンマーでは、調査対象の92%が過去1カ月の間に「寄付をした」と答えた。「ボランティアをした人」の割合も50%と、2項目でトップ。「見ず知らずの人を助けた人」は55%で47位だった。
ユニークなのは、寄付をした人の割合で2位に付けたタイ(87%、総合19位)、ボランティアの項目で2位のスリランカ(48%、同8位)ともに上座部仏教の国だったことだ。ただ、同じ上座部仏教の国でもカンボジアは傾向が異なり、総合で100位(寄付35位、ボランティア126位)にとどまった。ラオスは調査対象外。
対照的に大乗仏教の国をみると、ベトナム79位、日本102位、中国にいたってはワースト2の144位と、順位は軒並み低かった。
ミャンマー以外のトップ10は上位から、米国、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア、英国、オランダ、スリランカ、アイルランド、マレーシアの順。G20(20カ国・地域)に名を連ねる先進国で、トップ20に入ったのはわずか5カ国。日本と中国はもとより、イスラム教最大の聖地メッカを擁するサウジアラビアは47位、カトリックの国イタリアは72位、バクシーシ(施し)の国インドは106位、ロシアは129位だった。
総合順位は38位だったものの、「見ず知らずの人を助けた人」の割合が最も高かったのはイラクだ。調査対象の79%に上った。リベリアはこの項目で2位(78%)、ボランティアでも3位(46%)にランクイン。寄付をした人の割合が123位(11%)と低いことから総合順位は25位にとどまったが、“隠れた慈悲深い国”といえるかもしれない。
ランキングの下位に目を移すと、ワーストはブルンジで145位。中国144位、イエメン143位、リトアニア142位、パレスチナ141位、ギリシャ140位、チュニジア139位などが続く。ワースト10は、サブサハラ(サハラ砂漠以南の)アフリカ、アジア、中東・北アフリカ、欧州と地域はばらついている。
CAFによれば、世界経済が停滞しているにもかかわらず、寄付をする人は増加傾向にある。2014年1年間で寄付をした人は全世界で14億人。寄付人口が目立って増えたのは、オーストラリア、オランダ、ドイツ、タイ、チリなど、国の経済レベルはさまざま。CAFは、宗教的な慣習に加えて、紛争や災害の発生が人々の心を寄付するよう動かした、と分析している。