アジアで一文無しになる日本の若者が増加中? 「困窮邦人」の35%が29歳以下

海外邦人援護件数の事件別内訳(2014年海外邦人援護統計から引用)

外務省は12月14日、2014年の海外邦人援護統計を発表した。世界各地の日本大使館・領事館などが14年に、事故や災害、犯罪に巻き込まれた邦人を援護した数は前年比5%増の2万724人(1万8123件)。近年は海外で困窮して助けられる若者が目立つ。

援護を内容別にみると、「所在調査」7044人、「犯罪被害」5383人、「遺失・拾得物」3379人、「傷病」761人、「犯罪加害」404人、「困窮」359人、「事故・災害」345人など。地域別では北米が6853人で最も多く、以下、アジア6245人、欧州4573人、中南米1787人、大洋州528人、アフリカ427人、中東311人の順。

海外でお金がなくなって大使館に援護された359人の71%、人数にして255人を占めたのがアジアだ。欧州の59人、北米の20人、大洋州の10人を大きく上回る。性別は男性277人、女性77人。また世代別でみると、20代が76人(うちアジアは40人)、19歳以下が52人(同45人)と、50代の49人、60代の48人よりも多い。29歳以下で「困窮邦人」全体の35%を占めるなど、若者が海外する困窮するケースが増えている。

困窮邦人の内訳(2014年海外邦人援護統計から引用)

犯罪被害では、82%を占めたのが窃盗(4417人)だ。詐欺は453人、強盗は248人だった。犯罪被害が断トツで多かった地域は欧州の2797人(全体の51%)。とりわけ20代の被害者が欧州だけで634人、世界全体では1304人と最多だった。また、殺人などに巻き込まれて命を落とした人は9人。内訳はアジア5人、北米3人、中南米1人。

犯罪加害は全体の62%(254人)がアジア。うち男性の加害者が211人で、とりわけ30代と40代がそれぞれ65人、63人と多かった。犯罪の種類は、出入国・ビザ関連(不法滞在など)の115人をはじめ、傷害・暴行54人、麻薬30人、道路交通法違反30人、窃盗27人など。売買春は18人だった。

事故・災害では、交通機関の事故が165人(47%)、自然災害67人(19%)。

所在調査は、北米、中南米を中心にすべての地域で増えている。相続や裁判手続き、地方自治体による税の徴収に利用されることが多くなってきたためという。

死亡者数は前年比13%減の522人。傷病による死亡が405人で全体の約8割を占めた。次いで自殺による死亡が47人。

法務省入国管理局によると、2014年の海外出国者数は前年比3.2%減の1690万3388人だった。