ムンシフ・マルズーキ前チュニジア大統領は12月20日、「希望(アル・イラーダ)」という新党を結成すると発表した。チュニジアの現地メディア「チュニジア・ライブ」が21日伝えた。マルズーキ氏は「今の国家の状態は最悪だ。現政権は全く無力だ」と100人の支持者を前に語った。
マルズーキ氏はアラブの春でベン・アリ政権が倒れた後、2011年から2014年末まで世俗派として大統領を務めた。しかし2014年12月に実施された大統領選で、同じく世俗派政党で議会第一党の「チュニジアの呼びかけ」党首のカイドセブシ氏に敗北した。「チュニジアの呼びかけ」は連立政権を組んでいる。
ところが「チュニジアの呼びかけ」内部では、カイドセブシ大統領の息子で副党首のハーフェズ・カイドセブシ氏の派閥と、幹事長のモフセン・マルズーク氏の派閥の対立が顕在化。11月にはマルズーク派の議員31人が離脱を発表した。離脱すれば議会第一党から転落する。12月にはマルズーク氏が提出した幹事長辞職願を同党が受理しないなど混乱が続いている。
マルズーキ前大統領の新党結成報道に対して、「チュニジアの呼びかけ」のブジュマー・レミリー報道官は「マルズーキ氏の政界復帰はチュニジア政治にとって良くない。大統領在職中にはテロリズムが拡大した。マルズーキ氏は国民に謝罪すべきだ」と現地ラジオで話した。