
「女人禁制」「女性は本堂には手を触れないこと」「スカートや肌の露出がある服装は禁止」‥‥。ミャンマーで仏教寺院を訪れると、こういった注意書きがいくつもあることに気づく。多くの仏教国の寺院では女性に宗教的制限が課せられることが多いのだ。
「女性に対する宗教的な禁忌があるのはもともと僧侶が参拝に集中できるようにするため。煩悩をなくすためだ」。こう語るのは、ミャンマー南東部のモン州にあり、同国屈指の巡礼地チャイテーヨー寺院でガイドを務めるウィンカウン(ビルマ族)さん。
興味をそそられるのは、そんな寺院がミャンマー人カップルにとって格好のデートスポットになっていること。男女ともに民族衣装「ロンジー」(下半身全体に巻きつける筒状の布)に身を包み、肩を寄せ合い歩く姿は微笑ましい。しかし女性への禁忌がたくさんあるのに、寺院の中を異性がデートするのは許されるのか。質問を投げかけてみた。
「寺院は本来、僧侶が修行するためだけでなく、すべての仏教徒に広く開かれるべきもの。ミャンマーでは昔はいろいろと言う人がいたが、今では寺院で男女がデートしたり、家族や友人でピクニックをしたりするのは暗黙の了解なんだ」
僧侶の神聖な修行場、男女の愛を育むデートスポット、楽しいひと時を過ごす家族・友人の団らんの場、外国人にとって観光スポット‥‥。寺院の使い方は人によってさまざまだ。