米シンクタンクがランク付けした「途上国への貢献度」、日本はまたも最低!

2015年の開発コミットメント指標(CDI)の上位を占めたのは北欧諸国

米国のシンクタンク「世界開発センター(CGD)」はこのほど、2015年の開発コミットメント指標(CDI)を発表した。対象は27の先進国。CDIは、援助・金融・技術・環境・貿易・安全保障・移民の7項目をベースに、途上国への貢献度を数値化したもの。総合ランキングトップはデンマーク、日本は最下位(27位)だった。

デンマークに続くのが、スウェーデン(2位)、ノルウェー(3位)、フィンランドとオランダ(4位)、英国とフランス(6位)、ニュージーランドとポルトガル(8位)、オーストラリア、カナダ、ドイツ(いずれも10位)の順。ワースト3は下から日本、韓国(26位)、ギリシャ(25位)。日韓両国は、財政危機に陥っているギリシャよりも貢献度は下だった。

「援助」の項目で高い評価を得たのはデンマークとノルウェーだ。国民総所得(GNI)に占める政府開発援助(ODA)の割合をみると、デンマークは0.85%、ノルウェーは1%を超えている。

1970年の国連総会でドナー(援助)国は「ODAの支出額をGNI比0.7%に増やす」との国際公約に合意したが、ほとんどの国はいまだにこの数字をクリアできてない。最大のODA拠出国の米国は0.18%、韓国は0.13%、スロバキアにいたっては0.09%だ。

「金融」でトップだったのはノルウェー。途上国にとって海外からの直接投資は、交通・運輸やエネルギーなどのインフラを整備するうえで重要な資金源だ。ノルウェーは途上国への投資をサポートする政策を推進。汚職をはじめとする悪影響を与えていないかどうか、投資の透明性も注視しているようだ。

「環境」で最高ランクにつけたのはスロバキア。ガソリン税が高く、また温室効果ガスの排出量が少なかったことが理由。2位は、温室効果ガスの排出が最少のスウェーデン。対照的に日本は、熱帯材の輸入が多いこと、ガソリン税が低いこと、温室効果ガスの削減が限定的であることがマイナスポイントだった。気候変動は、脆弱な途上国のほうが深刻な影響を受けるため、先進国の取り組みは、途上国への貢献を考える意味でも必須だ。

「安全保障」ではノルウェー、デンマーク、英国がトップ3。いずれも、通常兵器がテロに使われないよう他国への移転を規制する「武器貿易条約」の成立に力を注いだことなどが評価された。最下位は、「対人地雷禁止条約」や「クラスター弾に関する条約」を批准していない韓国。また、スウェーデンやフランス、チェコ、ドイツなどは途上国や非民主主義国家へ武器を大量に輸出していることが問題視された。

「移民」で1位だったのは、難民や庇護申請者を多く受け入れるノルウェー。低い評価を受けたのはスロバキア、ハンガリー、日本。労働者の移動は、貧困の削減と富の再配分に有効な手段の一つとされる。

日本の評価が常に低いことについて外務省はかねて、CDIの評価手法は公正ではないと主張してきた。その根拠は「7つの分野をすべて同等のウエイトで単純に合算してランク付けしている。これでは『援助』と『移民の受け入れ』が開発に与える影響は同等ということになる」「(CDIで)使用されている日本のODA実績の数字はDAC(経済協力開発機構=OECD傘下の開発援助委員会)統計上の数字よりかなり低い」など。

2015年の開発コミットメント指標(CDI)

2015年の開発コミットメント指標(CDI)