混乱が続くブルンジへ平和維持軍を派遣? 「攻撃されれば戦う」と大統領は真っ向反対

平和維持軍が派遣されることに反対するデモ隊=2015年12月、ブルンジの首都ブジュンブラで撮影

平和維持軍が派遣されれば、ブルンジの混乱はむしろ拡大する恐れがある――。アフリカ連合(AU)は、政情不安に陥ったアフリカのブルンジに平和維持軍を派遣する動きを見せている。ブルンジ国民を保護し、暴力の連鎖を断ち切ることが目的だ。しかしこれが逆効果になって情勢が悪化するとの見方も強い。

AUは2015年12月17日、AUが準備する5000人規模の平和維持軍(MAPROBU)を受け入れるよう、ブルンジ政府に要求した。この要請の背景にあるとみられるのが、首都ブジュンブラでその6日前に起きた治安当局と武装勢力の衝突。少なくとも87人の死者を出した。

こうしたAUの意向に対し、ブルンジのンクルンジザ大統領は「平和維持軍の派遣は『侵略』だ」と激しく反発する。国営放送を通じて「ブルンジが攻撃されれば、すべての国民は立ちあがって戦わなければならない」と訴えた。ブルンジ政府が拒否してもAUはMAPROBUを派遣する構えだが、この結果、政府軍とMAPROBUが本格的に衝突するとの懸念は深まるばかりだ。

AUによると、MAPROBUは、東アフリカ予備軍(EASF)の兵士、警察、人権監視員など5000人で構成する。アフリカ大湖地域(コンゴ民主共和国、ルワンダ、ブルンジ)を専門とするロンドン大学のフィル・クラーク教授はEASFについて「実戦経験がなく、銃の引き金を引いたこともない部隊。ブルンジの紛争を止められるか、疑問だ」と語る。

混乱に乗じて反政府勢力が活動を活発化させるリスクもある。15年12月23日にはブルンジ国外で活動する複数の反政府勢力が結集し、新たな反政府勢力「FOREBU」を立ち上げた。リーダーに就いたのは、15年5月にブルンジで軍事クーデターを首謀した元情報機関トップのニヨンバレ氏。FOREBUは、ンクルンジザ大統領を武力で排除すると明言している。

AUは、加盟国の3分の2が賛成すれば、受け入れ国の合意なしに軍隊を派遣できると強気だ。派遣の是非は、1月30~31日にエチオピアの首都アディスアベバで開催されるAUの第26回サミットで問われる。

ブルンジでは15年4月末、ンクルンジザ大統領の3選は憲法違反だと批判するデモが激化。5月には反体制派の軍部によるクーデター未遂が起き、混乱が拡大した。国連によると、16年1月時点で少なくとも400人が死亡、22万人の難民が発生している。