ミャンマー人大学生は卒業しても社会に出ない? 「ビジネスを学びたい」

ファーストストラテジーの教室(ヤンゴン市内)

「卒業後はビジネスを学びたい」。大学や専攻を問わず、ミャンマー・ヤンゴンの多くの大学生は口をそろえる。日本の大学生が就職活動を始めるのは3年生の後半から。しかしミャンマーの就活事情は大きく異なる。

■就活スタートは卒業後

ミャンマーの大半の大学生が就職活動を始めるのは、大学を卒業したあとだ。卒業後すぐに就職活動を始める人もいれば、私立の学校や英語塾にしばらく通ってからの人もいる。働き始める時期は人それぞれ。一般的に4年間の大学生活では、専攻科目の勉学に集中するという。

ウェイオーモンさん(19)はミャンマー・ヤンゴン大学で英文学を専攻し、翻訳の理論や方法を学んでいる。卒業後は私立のビジネススクールに短期間通ってから、就職活動を始める予定だという。最初は英語の翻訳の仕事に就き、ビジネスと英語のスキルをあげた後に、人材ビジネスに携わり、ミャンマーの雇用問題に取り組みたいと語った。

大学卒業後には、専攻科目とは別の “スキルを養う時間”を設けたいと考えている大学生が多い。

「誰もがビジネススキルを求められる時代がきている」。こう語るのは、医大に通うピェパイヘイさん(17)だ。彼は大学2年次に経営や起業について教える私立の塾に通い、マーケティングを学んだ。医大を卒業したあとは更に深くビジネスを学ぼうと考えているという。

「どんなことを大学で学んでいても、それを職業にするには必ずビジネスの知識が必要となる。病院を開業するとしても経営やマネジメントのスキルは必須となる」。

■ビジネスの目的は“自国への貢献”

ミャンマーには「ストラテジーファースト」というビジネスや経営について学ぶ私立の塾がある。多くの大学生や既卒生、社会人がビジネスを学びに足を運んでいる。この塾の創設者であるアゥチーキンさんは、この塾を立ち上げることで、ミャンマー人の個々のスキルアップを支援し、最終的にはミャンマーの経済発展に寄与することをミッションとして掲げている。今後は、ビジネス関連の科目以外にも教える科目を増やしていき、ゆくゆくは私立の大学を創設したいと考えている。

ストラテジーファーストにかつて通っていた医大生のピェパイヘイさんは語る。「ビジネスを介して、様々な分野の人々はつながることができる。人々がつながりあうためにも、ビジネスを学ぶことは重要。様々な分野で、ビジネススキルに長けた人が、ビジネスを知らない人々の先頭にたち、これからのミャンマーを引っ張っていく。私たち大学生はそのためにみなビジネスを学ぶ」

今後ミャンマーではビジネススキルが必須になると語ったピェパイヘイさん

今後ミャンマーではビジネススキルが必須になると語ったピェパイヘイさん