ミャンマーで初のアニメ展覧会、オタク男子と腐女子が集結!

スーターゾーさん。大好きなNARUTOの絵をバックに撮影

「『NARUTO』でナルトがサスケに拒絶されても『友達だ』と答えたシーンは本当に感動した。『進撃の巨人』や『東京喰種』も好きだけど、NARUTOが一番だね。作者がプロットに込めたすべてのメッセージが興味深いよ」。ミャンマーのダゴン大学で国際関係論を学ぶスーターゾーさん(21歳)は力強く語った。

「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム ミャンマー展」が2月14日~3月6日、ミャンマー最大の都市ヤンゴンのミャンマー国立博物館で開催されている。主催は、日本の文化庁、国立新美術館、ミャンマーの文化省、ミャンマー国立博物館。大勢のミャンマーの若者たちが会場を訪れ、日本のアニメについて友人たちと語り合っていた。

日本生まれの医大生チャーニーダさん(17歳)は「ミャンマーで一番人気のアニメはNARUTO。だけど、僕は『ONE PIECE』の方が好きだ。ストーリーもキャラクターもすべて。最近は『ワンパンマン』や『FAIRY TAIL』、『BLEACH』なんかが人気だよ」と、少年向けアニメの展示を見ながら言った。いずれのアニメも日本で少年から熱い支持を受けているものだ。国は違っても、冒険や友情に心を躍らせる少年の心に変わりはない。

日本とミャンマーで好みが分かれたのは、女性向けの作品だ。「『花より男子』の道明寺司は好きじゃないわ。わがままで強引なんだもの」。ヤンゴン大学で英語を専攻するニンパーウィシーウさん(19歳)は「俺様キャラ」で人気を博した道明寺に対して苦言を漏らした。

日本で若い女性を中心に大ヒットした花より男子だが、ミャンマーでは女性ファンの反応は芳しくないようだ。

「昔はミャンマーのアニメファンは男性ばかりだった。でも今は女性ファンも多いよ。やっぱりNARUTOや『銀魂』みたいな少年マンガが人気だと思う」。女性に人気のアニメについてチャーニーダさんはこう答えたが、実際のところはよくわからないという。

「『世界一初恋』の王子様が大好き! 銀魂のノーマルラブも大好きだけど、ボーイズラブが一番好き!」。少女マンガには興味を示さなかったニンパーウィシーウさんは、大のボーイズラブファンだった。同じくNARUTOの女性ファンであるウィンテテアーさん(16歳)も、オリジナルボーイズラブ作品である『純情ロマンチカ』と『世界一初恋』のファンだった。

BLファンの上の2人は、少女マンガよりも、男同士の友情や恋愛物語を好む。あまりマンガを読まない女性K‐POPファンの間でも、日本のボーイズラブ作品はYAOIとして知られ、大人気だ。そんな女性ファンの嗜好を男性ファンが知らないのは日本のマンガ文化に通じるものがある。

10~20歳のミャンマーの若者の間で人気を得ている日本のさまざまなアニメ。日本のアニメがミャンマーでさらに支持を得るには子どもはもちろん大人向けにも過激な表現を控えた作品が必要だ、とニンパーウィシーウは語る。

「残酷な描写や性的な描写を控えた子ども向けのアニメがもっと必要だわ。特に性的な要素のあるアニメはこの国では禁止されやすいの」

若者だけでなく子どもや年配者も楽しめるような作品作りが、ミャンマーで日本のアニメが一般化するための課題といえそうだ。