「タイはショッピングパラダイスなの。たくさんのモノを簡単に買えるわ。タイの男性はハンサムだし」。こう嬉しそうに話すのは、ミャンマー屈指の名門大学、ヤンゴン大学に通うインインモエさん(女性)だ。
ヤンゴン大学のキャンパスで2月下旬、「タイ、インド、バングラデシュ、中国、ラオスの5つの隣国のうち、どこが一番好きで、どこが一番嫌いか」と54人の学生にアンケート調査した。この結果、「タイが一番好き」と答えたのは19人で、全体の35%を占めた。中国(15人)、インド(13人)がこれに続く。
タイの人気が高いのは、バンコクがショッピングパラダイスだからだ。インインモエさん以外にも、買い物目当ての女子学生は多くいた。経済成長が始まったばかりのミャンマーだが、ヤンゴン大学に通う上流階級の女子大生にとって“欲しいモノ”はヤンゴンではなかなか手に入らない。彼女たちの旺盛な買い物欲をヤンゴンが満たすにはまだ時間がかかりそうだ。
「タイには観光名所が多いから」と答えた学生もいた。ミャンマーでは実際、タイへ観光に出かける人が増えている。ミャンマーの大学生も近い将来、海外旅行を楽しむ時代がやってくるだろう。
「中国が好き」と回答したミャンマーの大学生の内心にあるのは、経済発展への憧れだ。スンタットアウンくんは「中国の経済発展や科学技術の進歩はすごいよ。政府が力を発揮しているよね」と語る。「中国製品が世界中を席巻しているのがすごいと思う」との声も少なくなかった。
3位のインドについては「経済が発展してきているから」との理由に加えて、エンターテイメントの魅力を熱弁する学生もいた。女子学生のひとりは「インドの映画、歌、ダンス、どれも素晴らしいわ。インド人の男性はハンサムよ」とベタ褒めだ。
インド好きの第3の理由として「民主主義体制だから」と答えた学生もいる。2015年の総選挙でアウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝し、民主化がさらに進みそうなミャンマー。「民主主義か否か」は、意識の高い大学生にとって大事なポイントなのかもしれない。
意外だったのは、7人がラオスを「一番好き」と答えたこと。理由を尋ねると「文化や伝統がミャンマーと似ているから」。嫌いな国にラオスを挙げた学生はひとりもいなかった。
最も不人気だったのはバングラデシュだ。54人中22人(4割)が「一番好きでない国」と答えた。「ムスリム(イスラム教徒)の国だから」というのが大多数の意見。仏教徒が9割を占めるミャンマー。学生の間でも、イスラム教への不信感は根強いことがわかる。
中国が好きでない、と答えたのは9人(好きは15人)。「パクリ製品を作ったり、大量の化学薬品を使ったりしているから」「民主主義を人々に提供していないから」という理由が聞かれた。