ミャンマーで塾から大学に行ける生徒はたったの2割!

インタビューに応じたヤンゴンの学習塾の生徒たち

ミャンマーでは、塾の人気が加熱している。大学受験のために、クラスによっても異なるが高校生の7~8割が塾に通う。だがそのうち大学に進学できるのは約5割。塾によっては2割のところもある。ミャンマーでは、塾に行ったからといって必ずしも大学にいけるわけではない。

しかしなぜ、ここまで多くの高校生が塾に通うのだろうか。

大きな理由のひとつとして、ただ単純に塾での勉強が好き、というのがある。ヤンゴン市内のダゴン大学に通うヤミンさん(18)は「学校の先生はよく怒るから恐い。だが塾の先生は優しく、決して生徒を叱ったりしない。質問しやすいので、みんな塾で勉強するのが好きだった」と話す。学習塾で生徒に勉強は好きか嫌いかとアンケートしたところ、17人中16人が「好き」と答えた。

一方で、塾に行けない子どもたちにも、他の教育機会がある。塾に行かなくても勉強ができる優秀な子どもはともかくとして、塾の学費は安くないので経済的な理由で塾に行けない子どもは少なくない。しかし塾に通えなくても、ほかの子どもが塾に行っている時間に自力で勉強したり、きょうだいに教えてもらったり、ボランティアがやっている無料の塾に通ったりしている。

貧困家庭から大学に進学する子どもは少なくないようだ。その理由についてヤミンさんは「貧困家庭の出身だからこそ、大学を出て、給与の高い職に就かなければ、というマインドが強いのでは」と説明する。ミャンマーは日本以上の学歴社会だが、貧しくても大卒の資格を得るチャンスはあるにはある。また大学入試に落ちても、お金を払って、大学の先生がやっている「キンダー」と呼ばれる学校に行くこともあるという。

ミャンマーでは今後、民主化が進み経済が発展するにつれて経済格差も広がるとの見方が一般的だ。しかし学習塾の先生は「民主化が進んでも教育格差が広がるとは考えていない。むしろ、ミャンマー全体の教育水準が上がるのでは」と期待する。